終活期は3つのコースに分けられる。「どこで暮らし、どこで最期を遂げるか」など、老後の生活基盤を想定しておこう
障害・介護・老衰コース別、終活期の過ごし方の経路
終活期の人生の過ごし方について経路を簡単に図示すると、おおむね図表2のように、(1)三大疾病コース(がん・心筋梗塞・脳卒中により重度の障害が残ることを想定)、(2)要介護コース(要介護度が高いケースを想定)、(3)老衰コース(特に大きな障害はないが身体機能が衰えていくことを想定)の3つに分類できるでしょう。 もちろん、細かく分類すると、他の経路も想定することはできますが、ここでは3つのコースに分けて考えていきます。 図表2
※筆者作成 (1)の三大疾病コースは、三大疾病の結果、重い障害が残った場合を想定するものです。このようなケースでは、治療を終えた後、人によっては老健に入所し、リハビリテーションを受け、その後、自宅で生活するという流れが考えられます。そして、死に際し、病院で息を引き取るか、自宅で息を引き取るかという結果を想定します。 (2)の要介護コースは、例えば要介護度が3以上で、日常生活を営むことが非常に困難な場合を想定するものです。このようなケースでは、特養に入所し、介護サービスを利用しながら生活すること(施設介護)や、自宅で介護サービスを利用しながら暮らすこと(在宅介護)が考えられるでしょう。 前者の場合、事情によっては特養がついのすみかになるかもしれません。または、家に帰って息を引き取ることもあるでしょう。後者の場合は在宅介護ですので、家で最期を迎えるか、病院で息を引き取るかを想定します。 (3)の老衰コースは、特に目立った病気や障害がなく、寿命を全うする場合を想定するものです。このケースでは、自宅で暮らしながら、最後に自宅か病院で息を引き取ることが考えられるでしょう。 これらのコースは、いずれも、「最後にどこで死ぬか」を想定するものです。言い換えれば、これらの3つのコースがいずれかに分岐した結果、どこで死ぬかも決まります。
終活期の生活課題は、お金だけで解決することは難しい
ファイナンシャル・プランナー(FP)への相談で、比較的多いのが、老後を見据えた保険の相談です。 (1)のコースでは三大疾病などにかかった場合に給付金が支払われる民間の医療保険など、(2)では介護が必要になった場合に一時金や年金として給付金や保険金が支払われる民間の介護保険など、(3)については、死亡した場合に死亡保険金が支払われる死亡保険などが考えられます。これらはいずれも、万が一のことを想定した場合のお金の話といえます。 しかしながら、前述のとおり、コースによって暮らし方は変わる可能性があります。そのため、お金のことだけを考えていても、「どこでどのように暮らせばよいか」について、自分や家族に合った解決策を見い出すことは難しいでしょう。 例えば三大疾病などにかかった場合には、「その後どのような暮らしを想定しておけばよいか」「介護が必要になった場合はその後、どのような場所で、どのような介護サービスを利用することになるのか」などを想定しておくからこそ、保険などの金銭的な準備に価値が生まれます。