「漁場が形成されるかも」済州~独島の海で「亜熱帯」クロマグロの卵100倍増
済州島(チェジュド)と独島(トクド、日本名・竹島)一帯を含む韓半島(朝鮮半島)沿岸の至るところに熱帯・亜熱帯魚種の流入がはるかに増えたことが分かった。流入した成体が沿岸に卵を産んで魚卵群が発見される事例も今年に入って急増した。気候変化に伴うこのようなエコシステム(生態系)の変化で将来は韓国の沿岸で熱帯・亜熱帯の漁場が形成されるのではないかという展望も出ている。 ◇独島だけにあったクロマグロの卵、済州・南海(ナムへ)にも 5日、韓国国立水産科学院水産資源研究センターが出した水産資源調査の結果を見ると、温帯の海に分類される沿岸では今年熱帯・亜熱帯性の魚類産卵海域が増え、以前までは観察されたことのない新しい熱帯・亜熱帯魚の流入が確認された。 科学院はまず亜熱帯性高級魚種に挙げられるクロマグロの卵の分布変化に注目した。水産資源調査は科学院の研究員が調査船に乗って済州近隣を含む排他的経済水域でBongoネットや多段開閉式ネット・環境計測システム(MOCNESSネット)などの装備を利用して魚類・魚卵を採集する方法で行われる。「卵仔稚魚調査」と呼ばれる。採集に使われる装備は網の大きさが500マイクロメートル程度で微細だ。 このような調査で韓国海域のクロマグロの卵が初めて確認されたのは2021年だ。当時は独島近海1カ所だけで発見され、1000立方メートル当たり10~100個の水準だったという。ところが今年の調査では済州一帯を含めて南海などでクロマグロの卵の発見場所が27カ所に増えた。場所によっては1000立方メートル当たりの卵個体数も100~2000個と100倍以上増えたところが多いことが分かった。 科学院関係者は「1カ所だけが見つかった時とは違い、今年の調査結果では韓国海域でクロマグロの産卵が偶然に起きたことではない点が確認された」と説明した。続いて「クロマグロは大韓海峡に流入する高温・高塩分水である対馬暖流に乗って韓国の海域にやってくる。卵を産むことができる30キログラムを超える成体の流入が増えて卵が発見される事例が増えたものとみられる」と付け加えた。 ◇熱帯魚2種流入も初めて確認される 今年の調査では2021年度と比較してクロマグロ以外にもスマ・ソウダガツオ・シイラなど亜熱帯魚種の卵密度が高まったことが把握された。また、熱帯魚種稚魚2種(スズキ目・Symphurus leucochilus)とワニトカゲギス目など亜熱帯魚種稚魚6種が韓国の海域で初めて確認された。これら8種は学界報告のための精密調査が進められている。 気候変動による韓半島の海水温度などの環境変化により、このような現象が現れたというのが科学院側の説明だ。ただし、今年例年とは異なる猛暑がこのような変化を加速させたかどうかを知るには別途の調査が必要だという。科学院関係者は「このような現象が長期的に現れれば、韓国の沿岸にもクロマグロなど亜熱帯魚種の漁場が形成される可能性がある」とし「水資源調査の結果、採集される資料は今後亜熱帯魚種のクオータ制(漁獲可能量)議論などに向けた必要な資料として使われるだろう」と説明した。