長友佑都が語った古巣FC東京カムバック論と新型コロナ禍の今、考えること…「サッカーは生きていくために必要ではないが幸せになるために必要なもの」
東京とイスタンブールを繋いだ会話が盛り上がってきたなかで、羽生さんから「いつ(FC東京に)帰ってくるんだ、と思っているんじゃないかな。みんなドキドキしながら聞いているよ」と話を振られた直後だった。長友は「FC東京への思いは強いので」と、10年前を思い出すように言葉を紡いだ。 「いつかは僕もプレーしたいですよ。ただ、これは僕の思いだけで成立するものではないので。とにかく僕の思いとフィジカルコンディションを含めて、チームに貢献できる、というものがあって」 長友の思いだけではない。FC東京の編成事情や長谷川健太監督や強化部が描く青写真を含めて、さまざまなタイミングが合致しなければ簡単には実現しないだろう。それでも、日本サッカー界へ戻るならば、いまも深い愛着を抱く、古巣のFC東京以外に考えていないことが図らずも明らかになった。 感染者数が12万人を超えているトルコでは、3月19日からリーグ戦が中断されている。自宅待機が1カ月以上も続き、週末には食材の買い物を含めた外出が禁止されている現状を、長友は「サッカー選手の価値とは何なのかを、自分のなかで考える時間をもらえている」と受け止めている。 「サッカーは生きていくためには必要ないけど、幸せになるためには必要だと思っていて。トルコのサッカー熱はめちゃくちゃすごい。みんながサッカーで悲しんで、楽しんで、幸せになって、という喜怒哀楽をこの世界でいろいろと経験させてもらいました。そういうサッカーに出会えて、プロとしてやらせてもらっているのは本当に幸せなことだと思っています」 弾き出された結論は、サッカーというスポーツは「本当に偉大だ」という考えだった。東福岡高から進学した明治大学でサイドバックとして頭角を現し、3年生の秋にFC東京からプロ契約のオファーを受けた。熟慮した末に一刻も早くプロになりたいという夢を優先させ、大学生とJリーガーの二足の草鞋を履いた2008シーズンが、日本代表の歴史に残るサイドバックへの出発点となった。