チークの新潮流、秋のトレンドは発色しない「ステルスチーク」
これをポジティブに捉えるなら、重ねても失敗しにくいともいえる。メイクが得意ではない私などは、ありがたいと感じてしまうほど、ブラシを重ねるごとに少しずつ血色感が増していくのだ。さらに、微細なパールの働きで、自然な艶が生まれる点も見逃せない。頬の丸みを立体的に際立たせ、健康的な印象が手に入る。
確かに、これまでのチークに比べると「パッと見分かりにくい」けれど、あるとないとでは大違いのステルスな肌効果を実現したチーク。透明感を引き出し、肌そのものの血色感を生かして、自然な艶を添える――。このライブな質感は、大人の肌にこそ不可欠だ。
ステルスチークの裏側には「ファンデの進化」あり!
何故今、このようなステルスチークが台頭したのだろう。大きな理由は、ベースとなるファンデーションの進化に尽きる。これまでのファンデーションは、多かれ少なかれ「カバー力」と「質感」がトレードオフの関係にあった。
肌の色ムラや影を顔料によって覆い隠し、均一に(一歩間違うと、のっぺりと)整える一方で、人肌ならではの濡れたような質感は失われてしまう。当然、肌が持つ血色も覆い隠されるため、チークによって後から補う必要があった。
一方で、近年のファンデーションはというと、粉体や光の拡散技術が格段に進化したおかげで、素肌の質感を生かすことが可能になっている。また艶を演出するパールも、ギラッと光るものではなく、より繊細な質感へと進化。うっすら汗をかいたような、自然な艶が手に入るようになった。
このようなベースメイクを施した肌には、血色感を「あとのせ」するのではなく、肌の血色を上手に取り込みながら、より自然に生かすほうがしっくりくる。いかにもメイクしましたという血色ではなく、素肌の血色とチークによってもたらされる「あるかないかの血色感」のバランスが重要なのだ。ここに、ステルスチークの意義がある。
キーワードは「ミュート感」この秋注目のチーク3選