土星の衛星には氷の下に海があるかも
土星の近くを公転する風変わりな小衛星「ミマス」。たくさんのクレーターがある地表の下に海が隠れている可能性が明らかになりました。
デス・スターのような見た目の衛星「ミマス」
半径が198kmに満たないミマスは完全な球形となるにはあまりに小さく、その氷の殻は天体が衝突してできた大量の大きなクレーターに覆われています。 ミマスの直径3分の1に及ぶ衝突クレーター「ハーシェル」が目立つ外見は『スター・ウォーズ』に出てくる帝国の巨大宇宙要塞にそっくり。そんなわけで、「デス・スター」というあだ名がついています。 ミマスはクレーターだらけなので地下海を探すには極めて可能性の低い場所だと思われていましたが、その軌道運動の解析によって氷の殻から20~30kmの深さに海があると判明したのです。
カッシーニの観測データを解析
この発見の詳細を説明した論文は、先週の科学ジャーナル『ネイチャー』に掲載されています。最新研究に携わった科学者たちは、2004年から2017年まで土星を周回していた土星探査機「カッシーニ」からのデータを活用し、ミマスの軌道のかすかな変化に注目。土星を周回する際の運動と回転を根拠に、そのデータは最近形成されて今もなお進化を続けている海をミマスが有すると示唆しています。 この海は約500~1500万年前に出現したと推定されました。比較すると土星の衛星「エンケラドゥス」の内部海の形成は約10億年前、木星の衛星「エウロパ」の海は約40億年近く前から存在しています。
液体の海をもつ氷衛星たち
これでミマスはエンケラドゥスとエウロパだけでなく土星の衛星「タイタン」と木星の「ガニメデ」と共に、内部海を持つ太陽系の氷衛星のリストに加わりました。しかし宇宙にはこのような衛星がもっと多く存在する可能性があります。 主に氷で構成されている衛星は潮汐力によって加熱され、内部の氷が溶けます。ここに挙げた衛星たちは太陽系内の生命が存在する天体の最有力候補で、液体の水は地球の生命の必須条件となっています。