イーサリアムの研究者らがEigenLayerの役職を辞任──利益相反の懸念で
イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者であるダンクラッド・ファイスト(Dankrad Feist)氏とジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏が、EigenLayer(アイゲンレイヤー)の顧問の役職を辞任した。イーサリアムコミュニティ内で利益相反の可能性をめぐる論争が勃発してから数カ月後のことだった。 EigenLayerは、最も注目されている新興暗号資産(仮想通貨)プロジェクトの1つであり、「リステーキング」と呼ばれる新しい概念を通じて、暗号資産アプリケーションがイーサリアムネットワークのセキュリティを「借りる」ためのプラットフォームとして機能している。 ドレイク氏とファイスト氏は、非営利組織であるイーサリアム財団の中で最もよく知られた研究者の中に含まれる。イーサリアム財団は、最大のスマートコントラクトブロックチェーンであり、ビットコインブロックチェーンに次いで2番目に大きなイーサリアムブロックチェーンの開発を管理する責任を負っている。 ドレイク氏とファイスト氏は今年の春、それぞれがEigenLayerの顧問の役職を受け入れたことを公に認めた。それぞれに対して、今後のプロジェクトとそのロードマップの指導を支援する見返りとして、相当額のEIGENトークンが割り当てられた。 こうした報酬をめぐる論争によって、イーサリアムコミュニティ内、そして一部の最も著名な人物の間で、利益相反に関するまだ発展途上の業界規範について深い分裂があることが露呈した。 2日、両研究者はEigenLayerの顧問の役職を辞任したことを明らかにした。 ファイスト氏はX(旧Twitter)への投稿で、「この役職が誠実に交渉され、EigenLayerがイーサリアムブロックチェーンとうまく連携することを確実にする目的で行われたと信じている」とした上で、「この関係の認識が異なっていること、そして多くの人にとってこれが生み出す利益相反はイーサリアムブロックチェーンの研究者としての私の役割と両立しがたいものであることを理解している」と述べた。 ドレイク氏は、9月にEigenLayerの顧問の役職を辞任したことを発表する自身のX投稿で、「イーサリアムコミュニティとイーサリアム財団の同僚に対して、私が引き起こした騒動について謝罪したい」とし、「振り返ってみると、私の行動は悪い動きだった」と述べた。 CoinDeskへのメッセージで、ドレイク氏は自身のEIGENトークンがベスティング(権利確定)する前に顧問の役職が終了したことを明確にした。 イーサリアム財団は定期的にイーサリアムエコシステム上に構築されるプロジェクトに助成金を付与しており、ネットワークの全体的な開発に大きな影響力を持っている。 一部のコミュニティメンバーは、財団の研究者に対するEigenLayerの報酬が、より広範なイーサリアムネットワークの開発ロードマップに影響を与えようとするEigenLayerの試みになっているのではないかと懸念を示した。 EigenLayerの顧問の役職を辞任することに加えて、ドレイク氏は将来的に投資を行ったり顧問の役職を引き受けたりしないことを約束するという追加の措置を講じた。 ドレイク氏はXで、「今後、すべての顧問の役職、エンジェル投資、セキュリティ評議会を断る」とし、「この個人的な方針は、最近のイーサリアム財団全体の利益相反方針を超えるものだが、その理由は、そうするように求められたからではなく、私が中立性へのコミットメントを示したいからだ」と述べた。 |翻訳・編集:林理南|画像:イーサリアム財団の研究者ダンクラッド・ファイスト氏(CoinDesk)|原文:Ethereum Researchers Relinquish EigenLayer Roles Over Conflict of Interest Concerns
CoinDesk Japan 編集部