【NFL】カーディナルス戦で脳しんとうから復帰のドルフィンズQBタゴヴァイロア、意識を変えたプレーを披露
マイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアが第3クオーターで見せたスクランブルこそ、この2カ月で彼の目標や周囲の期待がどれほど変わったかを象徴するものだった。
タゴヴァイロアは高校時代から一貫してランを武器としてきた選手であり、それが彼の強みの一つとなってきた。しかし、シーズン第2週の試合で、いつも通りのランプレーの最中にタゴヴァイロアはプロ入り後3度目となる脳しんとうに見舞われた。この時、タゴヴァイロアは反射的に頭と肩を低く構え、バッファロー・ビルズのセーフティ(S)ダマー・ハムリンに突進。衝突自体は決して激しいものではなかったが、その後の光景が一層不安をかき立てることとなった。タゴヴァイロアは地面に倒れ込んでフェンシングのポーズ(仰向けで腕が上に真っすぐ伸びた状態)を取りながら、意識を失ったのだ。
現地27日(日)に行われたアリゾナ・カーディナルスとの試合で復帰したタゴヴァイロアは、宣言通りにこれまでの教訓を活かし、ドルフィンズが期待する慎重なプレーを見せた。この日、タゴヴァイロアは38回中28回のパスを成功させて、234ヤードとタッチダウン1回を記録。ディープパスを狙うためにボールを長くキープしていたときでさえ、接触をうまく避けたため、ほとんど触られていないと言っても過言ではない。カーディナルスのQBヒットはわずか3回、サックは1回にとどまった。パスプレーではリリースをさらに早め、サイドライン際で周囲をヒヤリとさせた唯一のランもスライディングで終わらせている。
その瞬間、観客は歓声を上げて総立ちになり、タゴヴァイロアの名前を連呼した。タゴヴァイロアがヤードをさらに稼ぐために、迫りくる守備陣に突っ込むのではないかと、誰もが固唾を飲んでプレーの行方を見守った。しかしその予想に反して、タゴヴァイロアは13ヤードを確保し、立ち上がると地面を指差しながら大きく息を吐いた。