トランプ再臨で“損切り”される韓国… 焦って中国側に走るのか
米朝結託を防いだ安倍首相
「韓国蚊帳の外」論です。米朝対話の中で北朝鮮は米国に届くICBM(大陸間弾道弾)だけは持たないと約束し、短距離ミサイルと核弾頭の保有は認めろ――と言い出す可能性が大です。トランプ次期政権はこれを認めたうえ、韓国や日本に対し「米国の核の傘を提供し続けるから我慢しろ」と言い出しかねない。 北がICBMを持たない以上、米国はワシントンやニューヨークへの核報復攻撃を恐れずに済むので核の傘は劣化しない――との理屈です。ハンギョレ社説も、このリスクを訴えています。 ・韓国が対話から外れることになれば「朝鮮半島の非核化」という目標は消え去り、北朝鮮の核を認めた状態で米国を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけを除去するという、容認しがたい妥協がなされる可能性もある。 1期目政権の米朝対話でもこのリスクがありました。ただ、この時はトランプ大統領と世界でもっとも深い信頼関係を結んだ安倍晋三首相が健在でした。北朝鮮に安易な妥協をしないよう、トランプ大統領にクギを刺していました。 でも、今や日本の首相は「中国も参加するアジア版NATO」が持論の石破茂氏です(「『韓国が納得するまで謝る』イシバは“第2のハトヤマ政権”だ… 尹錫悦が期待する根拠」)。トランプ次期大統領が「第2のハトヤマ」の言うことに耳を傾けるはずがありません。 ――安倍首相が活躍した時、韓国はどう動いたのですか? 鈴置:当時の韓国は反米親北の文在寅政権。トランプ大統領から嫌われていて、仮にその意図があっても米国に対し完全な非核化を要求できなかったでしょう。 韓国メディアは「米朝首脳会談は文在寅政権が仕切った」と自らの外交力を誇っていました。しかし実際は、韓国は北朝鮮の使い走りに過ぎず、トランプ政権もそう見切っていました。 2019年6月30日に板門店で3回目の米朝首脳会談が開かれた際、韓国の参加を米国は阻止しました。米朝両首脳の会談に割り込もうとした文在寅大統領の鼻先で、米警備陣は文字通りドアをぴしゃりと閉めたのです。