韓国警察、内乱容疑で大統領府を捜索…警察トップを国会封鎖関与の疑いで逮捕
【ソウル=小池和樹】韓国の警察は11日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日に宣布した戒厳令を巡り、内乱容疑でソウルの大統領府の捜索に着手したと発表した。捜索令状には尹氏が容疑者と明記された。
韓国警察の捜査本部は11日、大統領府や警察庁、ソウル警察庁などの捜索に着手したと発表した。ただ、大統領府の捜索を巡っては大統領府側が軍事上の秘密などを理由に捜索を拒否。一部資料の任意提出を受けたという。
警察は同日、趙志浩(チョジホ)警察庁長官と金峰埴(キムボンシク)ソウル警察庁長官の2人を内乱容疑で緊急逮捕した。2人は戒厳令の際に国会周辺に警察官の出動を指示して国会封鎖に関与した疑いがある。
検察は10日、尹氏に戒厳令を進言した金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相を内乱と職権乱用容疑で逮捕した。韓国メディアによると、検察は裁判所に請求した逮捕状で、尹氏を首謀者と位置づけた。金氏は逮捕される直前の10日夜、拘置所内のトイレ内で自殺を試みたが、拘置所職員が発見して防ぎ、命に別条はない。
戒厳令の捜査を巡っては検察、警察のほかに政府高官らを対象とする「高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)」も捜査を進め、主導権争いの様相を呈している。
今後、政府から独立した立場で捜査を行う特別検察官が証拠を集約する可能性がある。国会で10日、常設特別検察官による捜査要求案が可決された。
尹氏の弾劾(だんがい)訴追案が可決された場合、こうした証拠が一時的に憲法裁判所に集められる可能性がある。2017年の朴槿恵(パククネ)元大統領の弾劾審判で憲法裁は、朴氏の捜査を進めていた機関から資料の提供を受けた。