中国がEUへの報復準備-貿易戦争、対米国ではなく対豪州型か
ワイン:主に地中海産
中国国営メディアが先月報じた記事には、乳製品や飛行機と並んで、ワインが標的にされる可能性があると指摘されていた。フランスは欧州最大の対中ワイン輸出国であり、ここでも打撃を受けるだろう。
関税を課すなどして欧州からのワイン輸入を阻止したとしても、中国が他のサプライヤーを見つけるのは容易だろう。中国が3月に懲罰的な関税を廃止した豪州産ワインは市場に戻っている。
世界のワイン市場は現在、歴史的な供給過剰状態にある。つまり、他国の生産者は空白があれば殺到するだろう。中国の輸入はここ数年縮小傾向にある。
自動車:ドイツに大きな打撃
在EU中国商業会議所(欧盟中国商会、CCCEU)は先月、大型エンジンを搭載した輸入車も中国の報復対象となる可能性を示唆した。
国営メディアは19日、中国のEVメーカー数社が欧州の大型エンジン車に対する関税を引き上げるよう政府に要請したと報じた。
もし欧州の輸出メーカーにだけに関税が課されれば、ドイツとスロバキアに大きな打撃となるが、全面的な措置となれば米国と日本の企業にも影響を与えるだろう。
中国はこれまでの貿易戦争で、自動車関税を利用する意向を示してきた。トランプ政権時代には米国車に課す関税率を一時40%まで引き上げた。
中国の欧州からの輸入のほとんどは、ポルシェやメルセデス・ベンツグループ、BMWといった高級車メーカーからのものだろう。中国市場を急速に席巻しつつあるEVを含め、買い手側には他の高級車という選択肢もある。
乳製品:デンマークの憂鬱
国営メディアは、乳製品がターゲットにされる可能性に触れている。中国が輸入に依存し過ぎていない分野の一つであり、他の売り手が参入する可能性もある。
中国の乳製品輸入の約半分はニュージーランドからで、3分の1ほどがEUからだ。デンマークとオランダ、ドイツ、フランスはいずれも新たな障壁の影響を受けるだろう。
航空機:標的になり得ない