買い物体験の向上には何が重要? ウォルマート子会社の会員制スーパー「Sam's Club」の事例に学ぶオムニチャネル施策
┌────────── カーブサイド・ピックアップはものすごい勢いで広がり、「Sam's Club」の会員たちもすぐに気に入ってくれました。突然、まったく新しい販売チャネルとまったく新しいサービスを導入することになったので、Sam's Clubにとっては大きな変化でしたが、会員たちからの要望に応えて素早くサービスを広げました。(キャラハン氏) └──────────
■ 約半数の会員がアプリを利用 キャラハン氏は2022年にSam's ClubのEコマース事業に参画し、その後のオンラインと店舗のオムニチャネル化への取り組みでリーダーシップを発揮。「Sam's Club」のモバイルアプリは、オンライン注文以外にも複数の機能を提供しています。
たとえば、店内商品の「Scan & Go」に加えて、会員は店舗内のカフェでの注文、ガソリン代の支払い、店内で商品のバーコードをスキャンして個別に発送することもできるようになっています。
キャラハン氏によると、現在、「Sam's Club」の顧客の約3分の1がオンラインで商品を購入しているそうです。アプリの利用拡大が事業成長のチャンスとなるため、Sam's Clubは今後もアプリの活用を広げていくことになると考えています。 ┌────────── 会員のうち約半数はアプリをダウンロードしていますが、実際に「Sam's Club」の商品をオンラインで購入している人は、そのうちのまだ3分の1にとどまっています。(キャラハン氏) └────────── また、モバイル経由のサイトアクセス数が増えているため、今後はモバイルからのサイト利用者がアプリのユーザーになる可能性があるとキャラハン氏は見ています。 ┌────────── ECサイトのトラフィックのほぼ80%がモバイル経由です。現在、そのうちの50%はアプリ経由になっています。(キャラハン氏) └────────── ■ 会員の「楽しさ」「快適さ」を広げる 一部のコアな会員によるニーズは変わっていません。キャラハン氏によると、利便性に焦点を当てると同時に、たとえば、商品棚をウィンドーショッピングしたり、サンプルの匂いをかいだり、食事を楽しんだりといった「Sam's Club」での体験を拡大するためのソリューションを増やしていくことに重きを置く予定です。 ┌────────── 会員のために利便性を高めたいのです。それと同時に、さまざまな販売チャネルで購入体験をしてもらいたいと思っています。「Scan & Go」、カーブサイド・ピックアップ、当日配送サービス、店内での購入など、すべてのチャネルで買い物をしてもらえれば、会員の支出額は3倍になり、会員の更新率が向上して、ロイヤルカスタマーになる可能性も高くなることがわかっているからです(キャラハン氏) └────────── 市場調査や消費者動向に関するデータや統計を提供する、ドイツのStatista(スタティスタ)社が発表したデータによると、Sam's Clubの2023年売上高のうち、63%を食料品や消耗品が占めています。 ■ デジタルの強みはレコメンド機能 「Sam's Club」のデジタル施策では何が最も効果的でしょうか? キャラハン氏は、顧客がよく注文する商品のレコメンド機能をあげました。「自分にとって買い物が便利であればあるほど、『Sam's Club』を利用してくれる会員が増えるのです」(キャラハン氏) 多くの場合、顧客はオンライン上の商品カルーセルや商品ページから商品を選んでいます。商品の選択後、過去の注文履歴から、カーブサイドでの受け取りが可能な商品が表示されることもあります。レコメンデーション機能をこのように改善し、買い物のプロセス全体で消費者の利便性を引き上げることを、キャラハン氏は狙っているのです。 ┌────────── 私は会員の皆さんに「Sam's Club」で買い物をしていただきたいですし、買い物の際には快適な購入体験をしてもらいたいのです。会員は、「Sam's Club」に便利さを求めてやってくるのですから。(キャラハン氏) └──────────