「やせられないのは脳のせい」脳科学者が提唱、やせ体質に変わる “ダイエット脳” のつくり方
雑誌に載っている、いろいろなダイエット法を試しても長続きしない、運動を始めても三日坊主で終わってしまうなど、何度もダイエットに挫折し、そのたびに「私はなんて意志が弱いんだ」と嘆いている人は少なくないだろう。 【イラスト】脳が腹圧を感じることで「やせスイッチ」が“オン”に でもダイエットが続かないのは意志が弱いからではなく、脳に問題があるのだ。
ダイエットが続かない人の脳は「肥満脳」
「仕事や家事に追われている、心配事があるなどの理由で自分の身体に意識が向かわずにいると、脳がだんだん鈍感になり、脳がつくり出すリズムが乱れ、過食や運動不足など肥満の原因となる生活習慣が身についてしまう。 これがダイエットが続かない人の脳の状態で、私は“肥満脳”と呼んでいます」 と話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生。脳のリズムが乱れるとは、どういうことか。 「私たちは覚醒と休息を繰り返す脳内リズムによって、日々の生活を送っています。このリズムは、前述した多忙や心配事などによって簡単に乱れます。すると、脳が身体にとって正しい選択をしにくくなる。 つまり鈍感な状態になるので、太るとわかっていても高カロリーの食事をしたり、運動不足だと感じていても、身体を動かすことができない、といった状況に陥ってしまうのです」(加藤先生、以下同) 加藤先生によれば、肥満脳のままダイエットをしても、すぐにリバウンドしてしまうという。 「ですから、厳しい食事制限や激しい運動をする前に、脳を鍛えて感度を上げることが重要。そうすれば、脳のリズムが整ったダイエット脳に変わり、一生太らない身体を手に入れることができます」
脳のリズムを整える機能を鍛える!
脳には1000億を超える神経細胞があり、同じような機能を持つ細胞は近くに集まって脳細胞のグループをつくっている。加藤先生はそれらのグループを「脳番地」と名づけた。 例えばダイエット脳に必須の脳のリズムを整える役割を担うのは、思考系脳番地。 「思考系脳番地は、複数のことを同時に処理したり、物事のYES、NOを正しく判断するための、いわば脳の司令塔のような場所。 思考系脳番地が鈍感になっていると、空腹でなくても食べる、身体を動かしたほうがいいとわかっていても行動に移せないといったように、脳のリズムが乱れていき、太る習慣がどんどん身についてしまうのです」 ポテトチップスの袋を開けたら食べきるまでやめられない、歩ける距離でもついタクシーを使う、といった行動に心当たりのある人もいることだろう。 「思考系脳番地を鍛えるには、太る可能性のあることを避けるというルールをつくり、これを継続して正しい判断をするクセを脳に覚えさせることです。 例えば夜はスーパーやコンビニに立ち寄らない、袋菓子は食べきる前にパッキングして冷蔵庫に入れるなどして、食べないシチュエーションをつくるといったルールです。 また、何か一つ、自分の好物を選んで10日間食べるのをやめてみてください。その我慢を脳に覚えさせることによって、思考系の機能が強化されます」