ドイツの車暴走、容疑者は「反イスラム」投稿 過激派テロとは異質
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州マクデブルクのクリスマスマーケットに車が突っ込み、多くの死傷者が出た事件で、拘束されたサウジアラビア出身の医師の男性(50)は「反イスラム」的な書き込みをX(ツイッター)に投稿していたと報じられている。事件がドイツの社会や政治にどのような影響を与えるかは未知数だ。 【写真】自動車が暴走したクリスマスマーケットの現場 「イスラム主義者であるとの情報はない」。事件を受けて現地のハーゼロフ州首相はそう語り、イスラム過激派によるテロとの見方を否定した。 欧州ではこれまで、イスラム過激派やその支持者が「異教徒」であるキリスト教徒らを標的とするテロを繰り返してきた。ところが、今回はこの構図とは異なり、むしろ容疑者がイスラムへの反感を強め、「イスラム移民を受け入れるドイツ人」への無差別攻撃を図った可能性もある。 サウジは厳格なイスラム教国として知られる。しかし、独メディアによると、容疑者は既にイスラム教徒ではなく、過去にXで「ドイツは欧州をイスラム化させようとしている」との不満を投稿していたという。 さらに、容疑者は、移民に厳しい政策を進める右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持し、右派寄りの政治観を示す米実業家イーロン・マスク氏を称賛していた。母国サウジで抑圧されている女性への同情的な書き込みもあった。 Xへの投稿には支離滅裂な内容もあるとされ、警察は動機の解明を急ぐ。 報道によると、容疑者は2006年にドイツに移住。16年に難民と認定され、永住権を取得した。現在は同州ベルンブルクに住み、精神科病院の医師として働いていたという。 ドイツでは来年2月に連邦議会(下院)の総選挙が実施される。容疑者が支持しているAfDも事件を非難しており、総選挙に大きな影響はないとみられる。【ロンドン篠田航一】