開業後も進化続ける星野リゾート 宿泊客を分析して生まれたのは…
国内外に運営施設を増やす宿泊大手の星野リゾート。その強みは、ホテル開業後も「進化」を続けることにある。2023年に開業した「OMO関西空港」(大阪府泉佐野市)は11月、最上階にビアバーを開業した。その狙いとは。 【写真】星野リゾート、北米進出へ どんな場所に? 星野リゾートの「OMO関西空港」はインバウンド(訪日客)の利用が多い関空の近くにあり、客室は700室。空港を利用する観光客などをターゲットにしている。 総支配人の中里剛さん(54)は外資系コンサルティング会社「アクセンチュア」から、40代後半で星野リゾートに転職した異色の経歴を持つ。23年3月の開業時から宿泊客の行動分析を進めてきた。 分析結果で注目したのが、宿泊客のチェックイン時間だった。全体の3割が午後9~11時台にチェックインしており、開業前の予想を上回った。ホテル近辺では、午後9時以降に営業している飲食店は少なく、宿泊客はホテルの滞在時間を十分に楽しめない恐れがあった。 そこでホテル最上階の22階に、クラフトビール大手・ヤッホーブルーイング(長野県)の商品の魅力をつめこんだビアバー「よなよなムーンウォーク」を新たに設けた。 営業は午後5~11時で、遅い時間に到着した宿泊客のナイトタイムの充実を図る。看板商品「よなよなエール」をはじめとしたクラフトビールに加え、ソーセージやスペアリブなどの食事をそろえた。 ヤッホーブルーイングは星野リゾートのグループ会社で、海外客などにビールブランドの認知を広げる効果も期待できる。中里さんは「ホテル運営を通じて見えてきた宿泊客の動向やニーズを生かすことで、ホテルの進化を続けたい」と話している。【小坂剛志】