世界で人気高まるスウェーデン発「アワー レガシー」 成功の秘訣は「ゆっくりと着実に」
そして、「メンズウエアだけを手掛けていた時から、女性のファンもいた」というが、19年にはブランドの世界観を補完するためにウィメンズ・コレクションをスタート。「フェミニンな素材をメンズウエアに用いたり、男性的なシルエットをウィメンズサイズで表現したりと、両方を手掛けるようになったことで良いシナジーやエネルギーが生まれている」とハリンは説明する。
着用者に解釈を委ねるデザイン
「アワー レガシー」では、毎シーズンのコレクションを制作する際、象徴的な人物などを分かりやすいテーマを掲げることはない。その背景には「曖昧にすることで、着る人自身が自由に想像してほしい」という思いがあり、実際のアイテムにおいても「重要なのは年齢やスタイルなど特定の人を想定することではなく、プロダクトとしてベストな形で仕上げること。それを着たいように着てもらえればうれしい」と明かす。そんな着用者に解釈を委ねるデザインが、幅広い年齢層から支持を得るブランドの魅力の一つになっている。
そして、シンプルなデザインにオリジナリティーをもたらしているのは、素材への探求心。「ユニークなファブリックこそが、コレクションを際立たせる。だから、オリジナルで開発したものやエクスクルーシブの素材も多い」という。念頭に置くのは普遍的でありながら他にはない価値を持ったアイテムを生み出すことであり、「いろんな人のワードローブにおいて、いつまでも色褪せない一番のお気に入りになるような服を作りたい」と話す。
ブランドの世界観を強化する「ワークショップ」
また、「アワー レガシー」を語る上で欠かせないのは、独自のアプローチでサステナビリティに取り組む「ワークショップ」だ。その拠点となるのは、メーンラインのコレクションを取り扱う直営店とは別にストックホルムの中心地から少し離れた住宅街に設けたワークスペース兼ショップ。もともとは倉庫に溜まった生地や在庫から新たなものを生み出すためにスタートしたプロジェクトだったが、現在はアーカイブにハンドペイントなどを施した“クラフト”や過去のコレクションを割引価格で提供する“デッドストック”から余剰素材を組み合わせて作る“アップサイクル”やインスピレーション源となったビンテージアイテムの“リファレンス”まで9つのカテゴリーを展開する。