ブラジル、所得税改革発表 レアル最安値に急落
Marcela Ayres [ブラジリア 27日 ロイター] - ブラジルのアダジ財務相は27日、低所得層への所得税免除拡大と高所得者への増税を提案する一方、今後数年間の公共支出削減計画の概要を発表した。 市場では発表に先立ち、待ち望まれていた歳出削減だけではなく、所得税改革が導入されるとの報道を受けて、ブラジルレアルが1.8%下落し、1ドル=5.91レアルと過去最安値を記録した。ブラジル株式市場のボベスパ指数も1.7%下落。長期金利は急上昇した。 市場の取引終了後、アダジ財務相は「史上最大の所得改革」として、所得税の非課税枠を現行の月収2824レアルから5000レアル(842ドル)に引き上げると表明。歳入減を補うため、月収5万レアル以上の層を増税の対象とする。 非課税枠拡大は左派のルラ大統領の選挙公約だった。 アダジ財務相は歳出削減策の概要も発表。今後2年間で700億レアル(118億ドル)を削減するとの見通しを示した。 今回発表した全ての措置は今後正式に決定して議会で採決する必要がある。 マンチェスター・インベスティメントスの為替スペシャリスト、ルセリア・フレイタス氏は「市場は歳出削減について具体的で重要な情報を求めていたが、所得税に関する発表が市場の期待に逆行する形になった」と述べた。 アダジ財務相は所得税の負担をシフトすることで、財政に差し引きで影響を及ぼさずに中間層を支援できると主張。今回の政策は「確立された国際基準に沿っている」と述べた。 ある政府関係者は匿名を条件に、免税措置が新たな歳出管理に影を落とし、議会の審議に悪影響を及ぼす恐れがあると失望感を示した。 アダジ財務相によると、公共支出の管理では、最低賃金の実質伸び率を歳出全体の伸び率に適用する上限の範囲内に維持する。これにより、最低賃金に関連するさまざまな義務的支出を抑制する。 軍人年金には最低退職年齢の規定を適用し、公共部門の給与も憲法で定めた上限に基づいて制限する。低所得層向けの「賃金ボーナス」にも制限を設ける。 基礎的財政収支(プライマリーバランス)が赤字になった場合は、税制優遇措置の導入・拡大・延長を禁止する。