アメリカンボス大波乱Vに見た!この時期の重賞攻略の「ヒント」/1999年・エプソムカップ
【記者が振り返る懐かしのベストレース】エプソムCで真っ先に思い出すのはアメリカンボスが勝った1999年。驚異的な切れ味、スタミナ、大差勝ち、レコード…レースが記憶に残る要因はいくつもあるが、この年は大波乱の衝撃で自分の中の“ベストレース”になっている。 1999エプソムカップ結果 11番人気アメリカンボス→9番人気シグナスヒーローの決着。今でこそ馬単、3連単、WIN5と高配馬券の出現で感覚が狂いがちだが、馬連時代としては3万7760円は破壊力十分の数字だ。しかも3着にも14番人気リワードニンファが入り、仮に3連単があれば1000万超え?と思わせる大荒れぶりだった。 一方、支持を集めた1番人気レガシーハンター、3番人気トゥナンテは後方のまま金縛りに遭ったように動けず9、10着惨敗。中団に位置した2番人気ツクバシンフォニーも伸び切れずに4着止まり。レース内容としては明らかに低調な人気馬凡走、人気薄激走の結果に、ローカル前のこの時期の重賞の難しさを改めて思い知らされた。 いわゆる“空き巣”的な重賞では、人気を集める馬とて絶対的な信頼は置けないし、開催終盤のレースだけにいかに余力を残しての出走になるかもカギになる。 振り返れば、勝ったアメリカンボスは条件戦を勝ち上がって間もなく2度目の重賞挑戦、3着リワードニンファも休み明けの一戦だった。きつい競馬で消耗してしまった馬より余力がよりある方に分があったか。いずれにしても、この時期の重賞は「波乱前提」のスタンスで臨むのも手ではなかろうか。 もうひとつ、後になって感じたことはアメリカンボス=江田照の名コンビぶり。41戦全てで手綱を取っており、乗り替わりが珍しくない昨今では数少ないケースだ。エプソムCでの人気薄激走、大穴騎手・江田照との固い絆。そこを十分意識していれば、13番人気で2着に激走した2001年の有馬記念で印を回すことができたのかもしれないが…後の祭り、時すでに遅し、である。(2012年6月6日付東京スポーツ掲載)
東スポ競馬編集部