【宝塚記念】ソールオリエンス〝一変〟の光が見えた!「ハマるかもしれません」 4歳世代不作論に反発
[GⅠ宝塚記念=2024年6月23日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外2200メートル] あの末脚をもう一度――。第65回宝塚記念(23日=京都芝外2200メートル)で復活をもくろむのがソールオリエンスだ。近走は結果が出ておらず、べラジオオペラが大阪杯を制したものの依然としてくすぶり続ける現4歳世代の“不作論”を後押ししてしまっているが、密着取材を続ける権藤記者によると今回は一変の可能性あり。「原点回帰」をキーワードに、ラテン語で「朝日」を意味する皐月賞馬が、豪脚を取り戻す。
大阪杯の敗戦からつかんだ「Vシナリオ」
有馬記念→中山記念→大阪杯の近3走は最高着順が中山記念の4着。有馬記念と大阪杯に至ってはそれぞれ8、7着と古馬の壁に阻まれているが…その内容をひもとけばこの馬の本質が見えてくる。特に今年になっての2戦を見れば明らかだ。 まず、田辺を新パートナーに迎えるも4着に終わった中山記念。馬場や展開に恵まれなかったとはいえ、道中後方から運ぶと直線では上がり最速で追い上げた。一方、菊花賞以来となる横山武との再コンビとなった前走・大阪杯はブリンカーを着用し、向正面で4番手付近まで進出。しかし4角付近で鞍上の手が激しく動き出すと、直線ではそのまま手応えを失い、何とか0秒5差で食らいつくのが精一杯だった。 大阪杯での“らしくない”敗戦から見えてきたのは、この馬のVシナリオ。やはり道中はじっくりとマイペースで運んで脚をため、終盤にそのエネルギーを一気に爆発させる、京成杯や皐月賞のような強襲劇が本来の姿なのだろう。ソールオリエンスに加えて、かつてフィエールマンやシュネルマイスターといった手塚厩舎のGⅠ馬を手掛けた担当の名畑助手が「位置を取る競馬を試みたんですけど、やっぱりこの馬には現状合わないかなといったところですね」と振り返るように、前走は志向した競馬がこの馬には合わなかった可能性がある。指揮官の手塚調教師も…。 「前走はブリンカーとかいろいろなことをこっちで考えすぎて良くなかったのではと思います。今回は動きたいときに馬が動けるタイミングで動いたほうがいいかなと。『ハマれば勝てる』といったようなイメージで乗るとハマるのかもしれませんし、自分から勝ちに行っちゃえるような性格ではないのかもしれません」 思い返せば、皐月賞も道中は最後方付近で自分のリズムで運び、本格的に伸びたのはラスト1ハロンを切ったあたり。先に抜け出したライバルたちを大外からまとめてなで切った。 「意図的に下げるということではないのですが、出たなりのポジションを進んで直線勝負という競馬になるんじゃないかなと思います。いろいろ試しましたがどうしても二の脚がつかないので、そこは馬の個性として割り切って、この馬が一番いいパフォーマンスを発揮できる競馬がそういう競馬になるんじゃないのかなという結論ですね」(名畑助手) 復活のための原点回帰――そんな今回、中間の動きが変わってきたことも明るい兆しだ。レースではブリンカーは着けない予定だが、大阪杯前に追い切りでも装着したことで、前向きさが出るようになった。 「それがいい方向に出ているのか、2週前追い切りはいつも以上に前進気勢が見られたような感じだったので効果はあったのかなと思います」(名畑助手) 1週前追い切りの動きも上々で、現在の美浦ウッドは時計が出やすいということもあるが、ラスト1ハロンは10・8秒をマーク。手塚調教師は「道中の行きっぷりも『ここ2戦よりもハミがかりはいい』と(追い切りに乗った)嶋田も言っていましたし、そのあたりはいいんじゃないかな。馬がフレッシュな感じで雰囲気はとてもいいです」と好感触を伝える。 原点を知る鞍上・横山武が本来のスタイルを貫き、名畑助手が「(レースでブリンカーを着けた)大阪杯では結果が出なかったんですけど、それが今回は生きてきてほしいですね」と願うこれまでの試行錯誤が実を結べば、前走とは違った姿を見せてくれるに違いない。淀の地から酷評に揺れる現4歳世代を照らす“朝日”となれるはずだ。
権藤 時大