中国大手ヘッジファンド、顧客に資産の償還検討促す―米大統領選受け
(ブルームバーグ): 米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、中国最大のヘッジファンドの一つ、高毅資産は、中国経済や市場へのリスクが高まっているとして、一部の顧客に利益を確保するよう助言していることがわかった。
上海に拠点を置く高毅資産は、1000億元(約2兆1300億円)以上の運用資産を管理している。ブルームバーグが入手したディストリビューター宛ての通知によると、同社は主力ファンドマネジャー、デン・シャオフェン氏が管理するさまざまな商品の投資家に対して、償還を検討するよう提案した。
この通知では、これまでの好調なリターンと、米国の選挙結果がもたらす潜在的なリスクに触れている。中国からの輸出に対する圧力は高まり、為替レートの変動と相まって、今後は「複雑な環境」となり、より不確実性が増すとしている。また、投資家は資産配分の再調整を検討すべきだとし、償還の受付は11月13日に終了すると付け加えた。
UBSグループは7日のリポートで、トランプ氏の勝利は中国の株式市場に課題をもたらすが、中国株のバリュエーションが比較的低いことから、「ニュートラル」を維持すると述べた。また、市場は政府が政策刺激策を強化する積極的な措置を取るかどうかを注視していると付け加えた。
トランプ氏は中国からの輸入品に60%の関税を課すと公約しており、中国の経済成長への圧力になると広く予想されている。エコノミストらは、中国が公式目標である5%前後の成長を達成するのは難しいだろうとみている。
中国本土株の指標CSI300指数は、5年以上ぶりの最安値を記録した9月中旬から、このところ約30%上昇していた。
高毅資産は、今回の通知について、顧客に毎月償還が可能な日付を知らせる通常通りのものであり、過剰に解釈すべきではないとしている。 同社はブルームバーグの取材に対し、市場の見通しについては「楽観的」とした上で、慎重に動向をみていると答えた。 上海証券報が、この通知について先に報道していた。