テスラの“車両分解”で見えた設計の奇想天外、三洋貿易が運営する「EVに関する情報発信の聖地」
光部部長は、「これだけプレーヤーが多くなってくると、メーカーは自分たちで情報を追い切れない。そこでわれわれのデータベースを活用して競合品の調査ができる」と話す。 ■展示場には9万点以上の部品が並ぶ 世界中のEV160台分の部品データを集め、高精度の3Dモデルで可視化するケアソフト社のサービスは世界中で200社ほどが利用する。国内でも約40社が利用し、その利用者向けに現物を展示するのが、瑞浪展示場というわけだ。
現在展示場には、世界のEV16台分、9万点以上もの部品が並ぶ。アメリカや中国のEVばかりではない。フォルクスワーゲンの「ID.4」やメルセデス・ベンツの「EQS」、日産の「アリア」なども展示されている。各国、各メーカーの思想の違いが学べる。 展示場を訪れた取引先からは、「最新のテスラモデルを分解展示しているとは思わなかった。発想そのものがパラダイムシフトで、日本にはない思想に愕然とした」(化学品メーカー担当者)、「EVの設計思想はエンジン車とはまったく異なるもの。彼らのモノづくりの考え方をしっかり頭に入れていきたい」(自動車メーカー担当者)といった声が寄せられている。
三洋貿易の産業資材第二事業部の伊藤研一営業グループ主担当は、「部材を実際に見て手に取ることで、データだけでは伝わらない質感や触感もわかる。そこから部材の機能が具体的にイメージできる。百聞は一見に如かずだ」と話す。 世界に後れを取ると言われる日本のEV開発。瑞浪展示場は日系メーカーが世界にキャッチアップしていくための重要な情報拠点といえそうだ。
森 創一郎 :東洋経済 記者