ストレスのない豚はおいしいに決まってる! 熊本県菊池の「走る豚」はみんな楽しそうだった
生産者をつなぎ、自社製品も開発する「渡辺商店」
菊池のおいしいものが全部買えると言っても過言ではない「渡邉商店」は、菊地市の中心、「隈府(わいふ)」と呼ばれるエリアにある。 昔の蔵を「 本物のアレ研究所」と名付け、中ではさまざまな作業を行なっている。 「菊地の生産物は本当にいいものばかり。だから、きちんと管理して、欲しい人に確実に届けるのが私の仕事です。自然農法の米を作っている農家さんはたくさんありますが、いまは30か所ぐらいの米を扱っています。生産者別に精米、注文に応じて、分付き米にもします。生産者さんが個別に送ると手間も送料もかかりますから、そこをお手伝いしています」 常温、冷蔵、冷凍と細かく保存方法を考え出荷する。通販でも買える手作りのお惣菜も人気。野菜も肉も素材は抜群、調味料にもこだわる。 「日本の食の基本はなんと言っても発酵食品ですから、日本酒、料理酒、醤油、焼酎は自然米を製造元に送って独自のものを作ってもらっています。無添加ですから、化学物質に敏感な方も食べられますよ」 特に、「なま」と名付けられた天然醸造の醤油は自信作。自然栽培の大豆と小麦を使い、木桶で熟成させている。 「九州の醤油は基本甘口で、アミノ酸ほかいろいろ入っているのですが、これは東京の人にも気に入っていただける生(き)の醤油です。通販でも人気です」 菊池産の農作物を使って、どんどん新しい商品を作ってしまう渡邉さん。そのアイデアはどこから湧いてくるのだろう。 「菊池で作っている有機栽培の水田ごぼうは、とても品質がいいんですが、そのままでは全国の皆さんに買ってもらうのは難しい。だからごぼう茶にしました。ごぼう茶のブームがありましたが、そのだいぶ前から作っているんですよ。 精米するときに出るぬかも、自然栽培だからぬか自体がおいしい。なんとか食べてもらいたいと思って、ぬか入りのせんべいも作ってしまいました」 全国に「自然派きくち村」のファンがいるのも納得だ。米はもちろん、さまざまなオリジナル商品や「走る豚」のソーセージやベーコンも買える。手作りのお惣菜は冷凍で届く。その品数の多さには驚かされるはず。本物の菊池の味をぜひ試してみてほしい。 第1回は、夫婦ふたりで営む「発酵農園」と、贅沢すぎる古民家ステイをお届けしました。23日公開予定の第3回は、菊池がリトル台湾に?! 人気のお店3軒をお送りします。
広瀬 桂子(編集者)