根強い株主総会の6月開催、集中率59%に-ガバナンス改革の遅れ懸念
(ブルームバーグ): 日本企業による株主総会の集中開催が依然として根強いことは、投資家が企業と積極的に対話するエンゲージメントや議決権行使の妨げとなるため、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善の遅れにつながると懸念されている。
日本取引所グループによると、6月に上場企業全体(プライム、スタンダード、グロース)の59%、2262社が定時株主総会を開く。中でも27日は任天堂や三井住友フィナンシャルグループなど6月開催企業の約30%に当たる668社と、総会が最も集中する日となる。
りそなアセットマネジメントの下出衛チーフストラテジストは、以前に比べ開催日の分散化は進んだものの、物理的に出席できないケースもあると言う。
国の会計年度に合わせ3月末を決算期末としている企業が多いほか、会社法で定時株主総会の開催は期末から3カ月以内と定められており、総会開催日が6月最終週の平日に集中する状況が日本では長年続いている。
一方、今年2月に日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新する一因となったのは日本企業のコーポレートガバナンスの改革期待だ。東証が昨春以降、上場企業に対し資本コストと株価を意識した経営を求める中、期待を現実に昇華させるためにはより深く投資家と企業側が対話し、経営の非効率を正していく作業が必要となっている。
実際、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が5月に発表した調査によると、投資家との対話で企業の時価総額が増加したという。
GPIF、投資先企業との対話で一定効果を確認-時価総額増加に寄与
総会開催の集中率は過去20年間で緩和されたが、6月の最終週に集中する傾向はなお続いている。第一生命経済研究所の河谷善夫研究理事は、現在は事業年度の末日となっている基準日をずらすことで6月以降の開催も可能だと指摘。欧米では日本のように議決権行使の基準日を決算日に合わせる慣行がなく、決算後の4-5カ月後に総会を開くと話す。