見上愛“愛莉”の葛藤が辛すぎる…登場人物に完璧であることを求めない、ドラマ『マイダイアリー』の魅力とは? 第4話レビュー
マジョリティとは価値観を異にする「好き」
同性に対して好きという感情を抱くと、愛莉のように混乱することがある。幼い頃は同性の友人や同性の年上の人を好きになっても、その気持ちに違和感を抱かなかったはずなのに。 例えば、小学生くらいまでは同性の友人に似顔絵を描いて、好きだよという言葉とともに贈ったり、優しくしてくれる近所のお姉さんに好きという感情を抱いたりしたことがある人は少なくないはずだ。それなのになぜか、大人になると、同性に好きという感情を抱くと混乱し、答えを出したくなってしまうのだ。 近年、恋心は異性に対して抱くものという固定観念は払拭されつつあり、同性愛は社会からも受け入れられやすくなってきた。とはいえ、自分と同じ性別の人を好きになると、相手の立場を考えるとどうしてよいのか分からなくなるし、自分はみんなと違うのかもしれないと思い悩む…当事者から葛藤が消え去ったわけではないだろう。 愛莉は「私が本音話すとだいたい結末決まってるんです。まだ本気で好きな人に出会ってないだけだよ。大丈夫いつか必ずそういう人と出会えるから。そういう結末つきつけられる度に好きって気持ち分かんないなんて人間、この世で私だけなのかなぁとか思ったりして」と和沙に打ち明けていた。 誰を好きになるかは千差万別である。とはいっても、この世界では多数派の価値観が基軸となっているため、マジョリティとは価値観を異にする「好き」は理解してもらえないことが多い。 かつて愛莉にアドバイスをした人たちの言葉を思い出してみてもわかるように、一見優しさにあふれた言葉であっても、マジョリティの視点に根ざした助言は、当事者の感情を否定する方向に働き、心を傷つけてしまうこともある。 大人になると相手の感情に気遣うようになるし、1つの言葉にさまざまな意味があることが分かるようになる。大人は直感で動いたり、感情をあらわにしたりできないことが多い。だからこそ、「好き」という、本来ならステキであるはずの感情で心がつらくなることもあるのだ。