子どもを怒鳴ってしまったら? 心を傷つけないために「親がすべきフォロー」
子どものためと思って叱っても、心を傷つけてしまっては効果がマイナスに。叱ったあとのフォローがあれば、子どもは見ちがえるように変わります。一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカさんが語ります。 【マンガ】「片付けない子ども」にイライラ…母が編み出した3つの対処法とは? ※本稿は『PHPのびのび子育て』2020年8月号に掲載されたものを一部抜粋・編集したものですです
正しく叱るためには、行動のケアと心のケアがワンセット
子どもは褒めて育てたほうがいいとよく言いますが、子育てをしていれば叱らなくてはいけない場面は多くあります。叱るのも叱られるのも気持ちがいいものではありません。だからこそ叱らなくてはいけないときは、より効果的に正しく叱る必要がありますし、叱ったことによって親も子どもも不安定になるのは避けたいものです。 そのためのポイントは2つ。 1つ目は、心を傷つけず行動のみを正す「正しい叱り方」を知ること。2つ目は、叱ったあとの子どもの心をケアする「正しいフォロー」を知ることです。 叱ることは行動のケア、フォローは心のケアです。もちろん母親ですから、子どもを愛するからこそ叱るもの。子どもだけでなく、お母さんの心も満たされるよう、叱ったあとこそ、今まで以上に愛情を伝える必要があるのです。 重要なのはお母さんの愛情が子どもにしっかりと伝わっているかどうかです。思っているだけでは不十分。ここでは子どもへの愛情をしっかりと言葉と行動で示し、よりよい親子関係を築くための叱ったあとのフォローのポイントについてお伝えします。
叱ったあとに親がやるべきこと
1. 感情的になったときは、一旦その場を離れて冷静になるー―(冷静) 怒鳴ってはいけない、大声をあげてはいけないとわかっていても、ついカッとなってしまった経験は誰にでもあるはず。本当は冷静に伝えるべきとはわかっていても、それができないのが子育てというもの。 自分を責める必要はありません。子どもの心を必要以上に傷つけないように、頭に血が上って感情的になってしまったときは、まずその場を離れて冷静になりましょう。 2. 「怒鳴ってごめんね」の一言が子どもの素直な心を育むー―(反省) 感情が落ち着いてきたら、「怒鳴ってごめんね」と子どもに伝えましょう。人は感情的な生き物です。素直に感情的になったことを省みて謝ることで、子どもは2つのことを学びます。時に感情的になってもいいんだということ。そして間違いを犯したら素直に認めればいいんだということ。 こうした母親の姿勢を見て過ごした子どもは、ありのままに喜怒哀楽を表わし、自分の過ちを認められるのびのびとした素直な子に育つでしょう。 3. 子どもは安心できる環境でこそ素直になるー―(安心) 感情的に怒られたあとの子どもの心理状態は大きく分けて2つ。逃避か反撃。逃避とは、不安や恐れからその場を早く逃れたくてひたすら謝ったり、思考が停止して黙り込んだりする行為です。 一方、反撃とは、自己防衛のため言い訳や口答えをするなどの行為です。子どもの心を解きほぐすためにギュッと抱きしめてあげてください。お母さんの腕の中は子どもにとって一番の安全地帯。不安がすっと消え去って、真っ白な心で受け止められるはずです。 4. 事実・感情・改善の3ステップでより良い行動へと導くー―(教育) 子どもの心に安心が戻ったら、なぜ叱ったのかを伝えましょう。伝え方のポイントは事実・感情・改善を述べること。 まず「お友だちのことをたたいたよね」と原因となった子どもの行為を振り返ります。そして、「お友だちはきっと痛くて悲しかったと思うよ」と、そのときに他人がどのような気持ちになったのかを代弁します。次に「『おもちゃ貸して』と言葉で伝えようね」と改善策を提示します。「叩くんじゃないの!」と怒鳴るより心に響きますね。 5. 叱った分だけ「大好きよ」と愛情を言葉で伝えようー―(愛情) 叱るのは子どものことを思ってのこと。それでも怖い顔で怒られると子どもはお母さんに嫌われてしまったのではないかと不安になります。そんなときに言ってほしい魔法の言葉があります。 「ママはあなたがいい子でも悪い子でも大好きよ」。いい子のときも大好きだし、悪いことをしても大好きだから叱るんだとわかると、子どもは揺るぎない安心を手に入れます。叱りすぎてしまったときこそ、「大好きよ」と伝えてあげてください。