東京都が主導する「マッチングアプリ」“成婚格差”拡大の恐れも? 2年間で約5億円の予算「結婚支援事業」の効果とは
今年6月、東京都は婚活支援のためのマッチングアプリの開発を進めていることを発表。アプリの会員登録には最終学歴や年収などの入力や「真剣に婚活すること」を示す誓約書への署名が必要なことも報じられて、話題を呼んだ。 【X投稿】石丸元市長は2021年に結婚支援事業を廃止
アプリの利用条件や稼働時期は?
同アプリの正式名称は「AIマッチングシステム」。 アプリの会員登録には、写真付きの本人確認書類、自治体が発行する独身証明書、源泉徴収票など年収を確認できる書類の提出が必要になる。 利用者が相手に希望する条件などをもとに、AIが「相性がいい」と判定した相手を選び、紹介して出会いにつなげる仕組みだ。 2023年12月には、東京都が実施している結婚支援事業「TOKYOふたりSTORY」の交流イベント参加者などを対象に、先行利用が始まっていた。 6月の発表時点では「夏ごろまでの本格的な実施」が目指されており、「AIマッチングシステム」の公式サイトには「本格稼働は令和6年度の早い時期を予定しています」と記載されている。 しかし、都の担当者によると現在は先行利用者によるテスト的な実施が続いており、「本格稼働時期については未定」とのことだ。
2年間で約5億円の予算、結婚支援事業の意義とは?
東京都は、アプリ開発を含む結婚支援事業に2023年度は約2億円、24年度は約3億円を予算計上している。 これまで都に限らず、自治体が多額の予算を投じて行う結婚支援事業には批判が寄せられてきた。 Xにも「公共の予算で、婚活を支援するのは、結婚したくない人々の反対を招き、わたしも支持できない予算の使い方だ」との意見が投稿されていた。 また、自治体がマッチングアプリを運営することは民間のアプリ業者に対する「民業圧迫」であるとの懸念も指摘されている。 6月9日に放送された「ワイドナショー」では、漫才コンビ「アインシュタイン」の河井ゆずる氏が「マッチングアプリって、既存で、もう今の段階でメッチャあるじゃないですか」「他に税金回せるんじゃないかと思います」などとコメントした。 編集部が東京都に「AIマッチングシステム」の公共的な意義について問い合わせたところ、以下の回答があった。 「都の調査では、結婚に関心がある人のうち婚活などの活動をしていない人は約7割います。 都の結婚支援事業は、こうした結婚に関心がありながらも活動への一歩を踏み出せないでいる方々を後押しし、社会全体の結婚に向けた気運を醸成するために取り組んでいます。 マッチングシステムも、その一環となります」(都の担当者)