「長瀬さんに恥をかかせたくない」――ドラマ『俺の家の話』を支えた現役レフェリーが語る“舞台裏”
長瀬智也主演で宮藤官九郎が脚本のTBSドラマ『俺の家の話』が、26日に最終回を迎える。物語で重要な役割を担ったのがプロレスシーンだ。吹き替えなしでプロレスラーを演じた長瀬をはじめ、俳優やリアルレスラーたちの戦いは本物のリングさながらで、視聴者を引きつけた。監修を担当したのが現役レフェリーの木曽大介(43)。どこにこだわったのか、長瀬にどんな助言をしたのか。舞台裏を聞いた。(取材・文:岩瀬大二/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)=文中敬称略
はじめは軽い気持ちで
親の介護や遺産相続、学習障害など、様々な問題を抱えながら展開していくドラマ『俺の家の話』。大きな軸の一つになったのがプロレスで、監修者はDDT、ガンバレ☆プロレスなどの団体で活躍する木曽レフェリーだ。 「会場の雰囲気や技の見せ方だけだと思って、いつでも協力しますよという軽い気持ちでお受けしました。ところが、プロレスにかかわるキャスティング、道場、試合会場、コスチュームなどプロレスに関することは1から10まで相談したいと言われ、これは大ごとだと思いました」 ドラマスタッフから依頼を受けた2020年9月のことをこう振り返った。 当初、「プロレスをドラマで扱うのは難しい」と思っていた。リアルさを求めすぎて、ドラマとしての魅力を失うこともあるだろうし、逆に無難すぎては面白くない。プロレスの魅力を間違って伝えてしまうことにもなりかねないという迷いもあった。 「でも、これはやるしかない。プロレスを広める、ガンバレ☆プロレスの知名度を上げるチャンスだとスイッチが入りました。また、単純に長瀬さん、宮藤さん、スタッフのみなさんといった、日本でトップレベルの方々が作るドラマに参加できる楽しみもありました」 実は木曽は以前から宮藤官九郎が手掛けたドラマが好きで、今回の強力な制作チームは、憧れの存在だったという。 「何もわからないまま打ち合わせに行ったら、磯山晶(チーフプロデューサー)さん、金子文紀(演出)さんがいらっしゃいました。脚本は宮藤官九郎さんだし。実は、『タイガー&ドラゴン』『木更津キャッツアイ』『うぬぼれ刑事』なんて、何度見るんだっていうくらい好きで、これははしゃいじゃだめだって、冷静を装っていましたね(笑)」