「長瀬さんに恥をかかせたくない」――ドラマ『俺の家の話』を支えた現役レフェリーが語る“舞台裏”
レフェリーに注目するとプロレスもドラマももっと深くなる
リングで注目が集まるのはレスラーだが、プロレスではレフェリーも重要な役割を担う。リング上では選手を輝かせ、また不測の事態に備える監視役であり、言葉ではなく動作でいま何が起こっているのかを観客に説明するMCでもある。 ドラマの中で、プロレス団体の会長でレフェリーもこなす堀コタツ役の三宅弘城も見事だったという。 「三宅さんも格闘技やプロレスが大好きで、初代タイガーマスクのファン。今でも会場で観戦されていますし、そんなことまで知っているのかというほど知識をお持ちで。リハの時にも、『一旦やるので見ていてください、本当のリングだったらどうなりますか?』とすごく熱心で、長瀬さんと同じようにプロレス愛が伝わってきました」 細かいカウントの取り方や位置などはアドバイスしつつも、個性を生かすようにした。 「三宅さんはボクシングのプロライセンスを持っていらっしゃるんです。最初、レフェリーとしては動きすぎるなと感じたのですが、それはボクシングの動きの速さで、これはこれで堀コタツのレフェリングとして味があるなと思いました」
レフェリーを目指した理由
もともとプロレス好きではあった木曽が、プロレス界に入ったのは30歳。それまでは別の仕事に就いていた。なぜレフェリーという道を選んだのだろうか?
「たまたま、いま所属しているDDTの試合を見ていて、レフェリーの松井幸則さんが悪者チームの一員だったんです。そこに和田京平さんというベテランの正義感が強いレフェリーが来て怒る。すると会場が大爆発して沸いて、すげえなって思いました。レフェリーってこんなに人の感情を動かせるんだって。それで見方が変わりました」 プロレスはレスラーだけではなく、レフェリーやリングアナ、音響、映像、設営と様々な人物が介在して作り上げていく。これは主演だけでは成立しないドラマと同じだ。 「転職を考えていた時期だったので、最後にもう一度、ほんとにやりたいことを仕事にしようと思い、決断しました」