「まぁ結果論なので」じつは田中碧と町田浩樹が、中村敬斗を生かす「工夫」を…ただそれが日本代表の課題でもあるワケ〈オーストラリア戦深層〉
田中の発言に見る“日本代表の課題”とは
最終予選が始まってからサブ組として練習を続けてきた彼らだからこそ、共有できる感覚があった。それでも試合後、視座の高い田中はこう言って悔やんだ。 「前半のうちから左に落ちて、より高い位置に行く方が良かったかな。まぁ結果論なので……それを次に生かせたらいいかなと思います」 田中の発言は、現状における日本代表の構造的な課題を示している。 最終予選は攻撃的3バックの本格採用とともにスタートしたが、スタメンの選手はほとんど変わらない。3試合終了時点でスタメンを経験した選手は12人だけ。オーストラリア戦にしても、遠藤航の体調不良がなければ田中の先発がなかった可能性すらある。 森保一監督の率いるチームの特徴はハッキリしている。 攻守の決まり事を細かく設定しないため、相手に研究されるまでの間は選手の長所がかなり発揮される。一方で、選手たちが各シチュエーションでの決まりごとに近いものを提案していく必要がある。実際、中国戦の前日練習後、コーチ陣を除いたスタメン組の選手間で約束事や対処法について確認していたという。 ただこれが続くと、スタメン組だけが理解を深めていくことになってしまう。
田中も敬斗も、所属クラブで存在感を示している
その意味では、キャプテン遠藤のハプニングがあったとはいえ――田中が、今回の試合で考え、対処法を練っていく作業にしっかりと加わったことは、チームにとっても意義があったのだ。 なお田中は、長旅とフル出場の疲れも癒えない3日後に行なわれた所属クラブのリーズでの試合でプレーヤーオブザマッチに選ばれており、所属クラブでも存在感を示している。 田中にしても、第1回で取り上げた中村にしても――これまではサブ組として、少しの時間しか出場できなかった選手たちが頭で考え、それを実践に移せたことはこの先のチームの発展のためには大きな意味があるはずだ。〈第1回からつづく〉
(「核心にシュートを!」ミムラユウスケ = 文)
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