最高高度7000キロ超で86分飛翔 防衛省、北朝鮮発射のミサイルは新型ICBMと推定
防衛省は31日、北朝鮮が同日午前7時11分ごろ、平壌近郊から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを北東方向へ発射したと発表した。同8時37分ごろに北海道奥尻島の西方約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。北朝鮮国防省は同日、ICBMの「極めて重大な」発射実験を実施したと表明した。 防衛省によると、ミサイルは飛距離約1000キロ、最高高度は7000キロを超えて約86分間飛翔。これまで北朝鮮が発射したICBMと比べ、最高高度は最も高く、飛翔時間も最長だった。同省は同日の自民党会合で、固体燃料型の新型ミサイルと推定する分析を示した。 韓国軍は、高角度で打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道で発射したとみている。林芳正官房長官は記者会見で「弾頭重量などによっては1万5000キロを超える射程になり得る」との見解を示した。通常角度で発射した場合、米東海岸を射程に収めることになる。 北朝鮮メディアによると、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が発射に立ち会い、北朝鮮の「安全を脅かす敵にわれわれの対応意思を示す適切な軍事活動だ」と強調。北朝鮮は「核戦力強化路線を絶対に変えないと明言する」と宣言した。 北朝鮮によるICBM発射は昨年12月18日の固体燃料型ICBM「火星18」以来。11月5日に大統領選を控える米国に対し米本土を狙うICBMの能力を誇示し、核・ミサイル開発で譲歩しない姿勢を鮮明にした形だ。 発射直前には米韓国防相が米国で会談し、北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに派兵したことを非難した。日本近海にICBMを撃ち込み、北朝鮮の脅威に対抗して連携を強める日米韓を牽制する狙いもありそうだ。 政府は、国連安全保障理事会決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だとして北朝鮮に厳重に抗議した。(小沢慶太、ソウル 桜井紀雄)