「古いとか新しいとか関係ないです。中森明菜は」 「2024年の復活劇」で明菜ちゃんがファンに与えた衝撃ーー今年はたくさんの歌声と元気な姿を披露してくれた
香取慎吾は、その時のことを思い出したのだろう。少し上を向き、これ以上ない、というくらい顔をほころばせていた。 ■「きっと誰かを強くしている」 2024年に入り、彼女が見せくれた笑顔、聴かせてくれた声は多い。動画配信や香取とのコラボ、ラジオ出演の他にも、7月にはファンクラブ限定のライブを成功させている。 サンケイスポーツによる「昭和100年へ」のインタビュー企画にも、トップバッターとして登場。激動の、昭和の活動を振り返り語り、彼女が繰り返しているのは、ファンやスタッフ、各地でお世話になった人など、関わってくれた人たちへの感謝だ。
思い出してみれば、昔テレビでも、彼女は頻繁に小さな声、ときには口パクで、「ありがとうございます」と言っていた気がする。 公式サイトを開いても、まず、こんなメッセージが目に飛び込んでくる。 「40周年41周年と共に過ごすことを選んでくださったみなさまにとても支えられています。 みなさまの存在のおかげで、私は少し強くなれた気がします。 あなたは誰かを強くしている。 私もきっと誰かを強くしている。 私にできることは何もないと弱気になる自分を超えて、もしかしたら私の存在があなたの自信につながっているかもしれない、とあなたのおかげで思うことができるようになりました。
You make me stronger.」 「誰かを強くしている」という言葉が心に響く。 1人ひとりにその思いを届けるように、さまざまなツールを使い、じわりじわりと活動の域を広めている中森明菜。 現在の彼女の歌声は、昔の伸びに伸びるビブラートとはまた違う、心に心地よい微振動を与えるような、不思議な安心感に満ちている。 来年4月には、野外フェス(「ジゴロック2025 ~⼤分“地獄極楽”ROCK FESTIVAL~ supported by ニカソー」)にも出演する予定。
2025年も、中森明菜の風が穏やかに吹きそうだ。
田中 稲 :ライター