5000mパリ五輪代表の田中希実が今年も異例の3種目出場、1500mでも代表入りに挑戦 800mは高校生・久保凛と対決【日本選手権プレビュー】
■3種目で異なる走る目的 各種目にどんな期待が持てるのだろうか。 1500mはパリ五輪代表を内定させることが目標になる。父親の田中健智コーチは6月初旬の取材で次のように話した。 「外国勢が周りにいる状況なら、ダイヤモンドリーグ(以下DL)ストックホルム大会(6月2日 4分02秒98、9位)のように4分2秒台で走れるところに来ています。日本選手権は1着を取るのを前提に、標準記録を破って堂々と代表権を取ることが目標です」 田中コーチが「堂々と」という言葉を使ったのは、7月上旬に確定するRoad to Paris 2024(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)の順位が出場選手枠に入ることは確実で、標準記録が突破できなかった場合でも、日本選手権で3位以内になれば代表入りは確実になるからだ。 5000mは昨年の世界陸上ブダペスト8位入賞と、今年に入ってのパリ五輪標準記録突破(5月27日に14分47秒69)で、すでに五輪代表に内定済み。自身の持つ14分29秒18の日本記録を国内レースで更新することは難しいが、昨年に続く1500m&5000mの2冠はノルマと考えているだろう。勝つことに加えて田中のこれまでのレース出場と同様に、何かしらのテーマを持って臨むはずだ。 800mは「(日本人初の)1分台を意識したレース」(田中コーチ)をしたいと考えている。代表入りまでは狙っていないが、1分59秒30の五輪標準記録の可能性がゼロというわけではない。 ■「着をとるための練習」の進み具合をチェックする大会 1500mと5000mは優勝の確率がかなり高い。しかし800mは、今季1レースに出場しているが高校生の久保に敗れた。残り300mから田中が先頭に立ったが久保を引き離せず、ラスト50m付近で逆転を許した。久保が2分05秒35、田中は2分06秒08だった(田中の自己記録は2分02秒36)。