FRBの利下げ開始待つ世界の中銀-日銀総裁会見まで市場の緊張続く
(ブルームバーグ): 米国の金融緩和サイクルが今週始まれば、世界経済の地殻プレートが変動する。不安定な市場を背景にアジアや欧州など各国の中央銀行が金融政策を決める中で、そうした変化が生じる。
18日に見込まれる米連邦準備制度の利下げ決定で、36時間にわたる金融市場のジェットコースターが始まり、締めくくりは日本銀行の植田和男総裁が20日に開く記者会見だ。日銀は、世界的な株安の種をまいた追加利上げ後初の政策を発表し、植田総裁がそれについて説明する。
その過程で、主要20カ国・地域(G20)およびそれ以外の国々の中銀が、政策手段の調整に乗り出す。
ブラジルは3年半ぶりに引き締めを行う可能性がある。英中銀であるイングランド銀行は金利据え置きが見込まれているが、バランスシートの縮小ペースについてデリケートな判断を迫られている。
南アフリカ共和国は2020年以来の利下げを行うと予想されているが、ノルウェーとトルコは金利を据え置く可能性。
勢いを失いつつある兆しの米経済に対して、米連邦公開市場委員会(FOMC)が0.25ポイントの利下げが適切な措置と判断するのか、あるいは0.5ポイント引き下げを選ぶのかについて、トレーダーたちは神経をとがらせ、議論を交わしている。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を中心とするFOMCが示す今後の意向に関する手掛かりも極めて重要となるが、今週はそれで終わりではない。日銀による次の利上げのヒントを求めるトレーダーの緊張状態は週末まで続くことになる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコミスト、アナ・ウォン、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー、エステル・オウ、クリス・コリンズ各氏は「パウエル議長は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを支持しているとわれわれは考えているが、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が明確なシグナルが示していないことから、議長はFOMCの全面的な支持を得ていないと思われる」と指摘した。