《ブラジル》77歳男性が飛び蹴り受け死亡=車叩かれた運転手カッとなり
サンパウロ州沿岸部サントス市の路上で、11歳の孫の目の前で77歳の高齢男性が胸に「跳び蹴り」を受けて死亡する事件が起こった。39歳の運転手が歩行中の被害者と接触しそうになり、その際に車を叩かれたために怒って犯行に及んだ。容疑者は近くの市場に逃げ込んだが、追跡され現行犯逮捕された。10日付G1などが報じた。 この事件は8日、ピラジャ・ダ・シルバ街で発生した。当時交通渋滞が発生しており、車の流れが止まっていた。目撃者によると被害者セザール・フィーネ・トレーシさんは孫と手をつないで道路を横断中、チアゴ・ゴメス・デ・ソウザ容疑者が運転する車が突然二人に向かって進み、急ブレーキをかけた。 その際、セザールさんがボンネットにもたれかかる形になり、手で車のボンネットを叩いて運転手に危険を知らせた。だが、それに激高した運転手が車から降りてきて、彼の胸に飛び蹴りしたという。 警察によると、蹴られた衝撃で被害者は地面に倒れ、頭を強く打ちつけ、意識不明の重態になった。偶然通りかかった医師が応急処置を施し、救急診療所(UPA)に緊急搬送されたが、3度の心停止を起こし死亡が確認された。同件は「身体傷害に伴う死亡事件」として登録された。 被害者の息子ブルーノさんはG1の取材に対し、容疑者の攻撃的な行動の理由が理解できないと語った。「嫌悪感しかない。高齢者で、しかも子供がそばにいる人に対して、どうしてそのような残酷な行為ができるのか理解できない」と語気を強めた。 ブルーノさんによると、セザールさんはサンパウロ市近郊サントアンドレ市に住んでおり、サントス市、ソロカバ市、ジュンジアイ市に住む3人の子供と6人の孫をよく訪ねていた。「この週末は、父は私たち家族を訪ねてきて、息子と手をつないでショッピングセンターへ散歩に行っていた。父は3人の息子たちを訪ね、孫たちをつれて散歩することを何よりも楽しみにしていた」と付け加えた。 9日の拘留審問の後、サンパウロ州司法裁判所(TJ―SP)は現行犯逮捕から予防拘禁に切り替えた。チアゴ容疑者の弁護人であるエウジェニオ・マラヴァシ氏は声明の中で「収監理由不備による被告人の釈放」という人身保護令状を裁判所に申請すると述べた。