SAPのクラインCEO、生成AIの「プライムタイムの準備整う」--WalkMe買収にも言及
エンドユーザー向けのJouleの強化としては、Microsoftのコパイロット「Microsoft Copilot for Microsoft 365」との統合も発表された。双方向での統合により、どちらのコパイロットを使ってもユーザーに同じ体験を提供するという。2024年後半に統合を開始し、経費管理の「SAP Concur」とJouleを使って航空券を予約し、そのままツールを切り替えることなく、「Microsoft Outlook」のカレンダーに予定を追加するなどのことができるという。 なお、Microsoft Copilotについては、ServiceNowが5月に同社の生成AI「Now Assist」と統合することを発表している。 Sapphireでは、エンドユーザー以外のJouleの方向性も示した。それが、SAPのプロジェクトを加速するという「Joule with SAP Consulting」と「Joule with ABAP Developer」だ。 Joule with SAP ConsultingとJoule with ABAP Developerは、NVIDIAとの提携を通じて実現する機能セットで、Klein氏は「600万人のSAP開発者およびコンサルタントの業務に革命をもたらす」と説明する。 前者は、カスタム生成AIモデルとデータを接続するRAG(検索拡張生成)のマイクロサービス「NVIDIA NeMo Retriever」などを用い、20万ページに及ぶSAPの学習コンテンツ、ヘルプ、製品ドキュメント、コミュニティーコンテンツと連携し、SAPコンサルタントを支援する。後者は、「NVIDIA H100」で2億5000万行以上のSAPのプログラミング言語であるABAPのコードを学習し、NVIDIAの推論マイクロサービス「NVIDIA NIM」を利用して展開する。 「SAPプロジェクトを最大30%加速させ、SAPソリューションの実装を高速化できる」とKlein氏は話し、実際に社内で4000人のサービスコンサルがこれら機能を利用したところ、「最大で毎日2時間は節約でき、顧客との対話に費やすことができた」という。 Joule with SAP ConsultingとJoule with ABAP Developerは、2024年後半に提供を開始する予定だ。