【選手権】上田西、徳島市立の穴を突き大会初戦を飾る
全国48代表校チームが参加し12月28日に開幕を迎えた「第103回全国高等学校サッカー選手権大会」。12月31日千葉・フクダ電子アリーナでの2回戦第2試合では長野県決勝で市立長野を2-2での延長・PK戦で下し、7大会ぶり3度目の出場を決めた上田西(長野)と、徳島県大会決勝では徳島商に6-1で圧勝。3大会連続21度目の出場を決めた徳島市立(徳島)とが対戦した。 【フォトギャラリー】上田西 vs 徳島市立 今季はインターハイ出場を逃し、長野県U-18リーグ1部でも3位ながら選手権で見事にV字回復を果たした上田西のスターティングイレブンは、フォーメーション「4-4-2」のGKは1牧野長太郎(3年)、4バックは右から3松本悠真(3年)、4東風谷崇太(3年)、5緑川周助(3年)、2和泉亮哉(3年)。中盤はダブルボランチに6池田博希(3年)とキャプテンの10鈴木悠杏(3年)が入り、サイドハーフの右が9柳沢纏(3年)、左が8德間陽向(3年)。2トップは14藤江侑生(3年)と7松本翔琉(3年)。長野県大会決勝スタメンのFW11高橋亮雅(3年)はベンチスタートとなった。 対して、今季はインターハイでは2回戦で尚志(福島)に0-2も、初戦では昨年選手権準優勝の近江(滋賀)に3-1で快勝。プリンス四国でも準優勝の徳島市立のスターティングイレブンは徳島県大会決勝戦からGKと左センターバック、左サイドハーフを入れ替え。フォーメーション「4-4-2」のGKは17李ハソン(2年)。4バックは右から2藤川琉偉(3年)、16好浦悠仁(3年)、5森田颯佑(3年)、6岸孝亮(3年)。中盤はダブルボランチにキャプテンの8上田寛大(3年)とプリンス四国得点王の4山口凜太朗(3年)。サイドハーフの右は7原水智弘(3年)、 左が14牛尾律貴(2年)。2トップは2年時からコンビを組む11岡快吏(3年)と10鈴木悠哉(3年)となった。 試合はキックオフから推進力を前面に押し出す上田西がペースを握る。右からは9柳沢、左からは2和泉が仕掛け、セカンドボールは6池田、10鈴木が回収。中盤に落ちたFW7松本の左足シュートもゴールマウスを脅かすことに。さらに中盤の位置まで進出する5緑川のインターセプトからのオーバーラップも有効に機能した。 この時間帯をGK17李のセーブなどで耐え忍んだ徳島市立は15分、ようやく左サイド14牛尾のクロスを胸トラップで受けたFW10鈴木がシュート。17分には連係ミスを拾ったFW11岡がシュートを放つが、これはゴールならず。そして状況が一進一退になりかかった24分、先制ゴールは黄色いユニフォーム・上田西にもたらされる。 自陣からGK1牧野が前線のFW14藤江にめがけて放ったロングフィードがこぼれた先にいたのはMF8德間。そしてMF8德間は、その間にインナーオーバーラップを仕掛けた2和泉を見ながら、さらに後ろから走りこんできたFW7松本へのパスを選択。2和泉のスルーにより完全にフリーとなってペナルティーエリア内に入った7松本はDF1人を交わし、左足シュート。相手DFに当たりループとなったボールは徳島市立GK17李の背走をあざ笑うかのようにゴール内に舞い降りた。 かくして結果はオウンゴールながら、人とボールを同一視野に入れる部分での守備課題がある相手の虚をつく狙い通りの形で先制した上田西。さらに白尾秀人監督は38分、次なる手を打つ。「目がギラギラしていた」意気を買い、満を持して14藤江に変えFW11高橋亮雅(3年)を投入。その直後、再び歓喜が生まれた。 徳島市立がフィードのクリアが小さくなったところを前向きにさらったFW7松本は急加速で2人をかわし速く低い弾道のクロスを供給。その先にニアサイドで相手DFの前で足を伸ばしたのは……。先ほど入ったばかりのFW11高橋。「自分のゴールでチームで勝たせたい」切り札のファーストタッチがゴールマウスに転がり上田西が2-0として前半を折り返した。 後半、四国高校サッカー界の盟主としてもこのままでは終われない徳島市立は51分に、MF4山口の直接FKをFW10鈴木が頭で、57分には右サイドバック2藤川のオーバーラップからFW11岡がニアサイド頭で合わせるなど反撃を試みるが、上田西の身体を張ったディフェンスは崩れず。 結局、徳島市立の得点源であるMF4山口からのパスコースも塞ぎ切った上田西は、ラストプレーで2藤川のミドルシュートがDFに当たってコースが変わり1点を許したものの、2-1で徳島市立を下し、2025年1月2日(木)・フクダ電子アリーナでの第1試合で矢板中央(栃木)と対戦する3回戦進出が決まった。 「次も相手をしっかり見て試合をしたい」と謙虚に語ったのは上田西・白尾監督。自分たちの持ち味を出すために、相手の穴を完ぺきに突いた彼らは、強固な守備を誇る矢板中央相手にも、自分たちのフットボールを貫く。 (文・写真=田原豊)