はやぶさ2の状況は? JAXA会見(全文4完)間違いなく地球に戻す
帰還巡航のプロセスでのリスクは?
Bee Media:Bee Mediaの倉澤といいます。帰還巡航のプロセスの中で何か大きなリスクというのがあるでしょうか。もしあるとしたらちょっと教えていただきたいです。 津田:基本的には1年後のあるタイミングで、決められた場所に「はやぶさ2」をきちんと誘導しなければいけないので、そのためには、イオンエンジンってご覧に入れたように、非常に長いことエンジンを噴きます。エンジンを噴くときには正しいタイミングで、正しい方向に、正しい強さで噴かなければいけなくて、それが止まったらもう行き先がずれてしまうんですね。そういうのを事前に察知して、きちんと起きてることをフィードバックして、きちんと決められた場所に「はやぶさ2」を誘導するというのは神経を使う運用になります。 これは往路のときもやったことではあるんですけれども、往路とは違って到着日はもうずらせないんですね。これは1回、まだ決めてないですけど、ひとたび決めたらそれ以降はずらすことができないので、確実に計画をこなす。たとえ少しヒューマンエラーが発生したとしても「はやぶさ2」自身は間違えないというところをきちんとやることが重要です。 最後、その集大成になるのが緑で書いてあるリエントリーの精密誘導で、ここに入るとナビゲーションと軌道、計画立てるメンバーと、あと、それを実現するシステムメンバー、NECさんも含めて、この辺りがタイトに同じ場所で作業をして、間違いなく地球に戻すということをきちんとやっていかなきゃいけない。 なので、タッチダウンをやったあとに比べると、チャレンジという意味では少し華やかではないですけども、きちんとやっていくというところに非常に力を、きちんと力を注いでいく必要があると思っています。 司会:では次の方。じゃあ一番前の方。
意見が対立した状況はあったのか
荒舩:フリーライターの荒舩です。NECさんとJAXAさん、JAXAさんが大まかな予定を立てて、それをNECさんが細かく実現していくということだったと思うんですけども、2つのチーム、2つのチームというか、JAXAさんとNECさんの中ですごく、一番ここに意見が対立したような状況というのはあったのかどうか。どういうときだったのか。 益田:一番議論が白熱したのは、1回目のタッチダウンのときのタッチダウン方式を二転三転したって、先ほど最初、津田先生がおっしゃってた辺り、8月、9月、10月、11月でずっとその議論をしてきたわけですけれども、やっぱりそのときに、狭いところに降りることの確実性みたいなところがやっぱり難しくて、ターゲットマーカーを2個落とす、複数落とすっていう案は、それはそれでこういうリスクがありますとかいったことをいろいろわれわれも検討してお示しするんですけど、やっぱりJAXAさんは必ずタッチダウンをさせるということで、こういうことはないか、こういうことはないかって次々いろいろ繰り出してこられるんですね。 それを1つ1つ、できないものはできないともちろんお答えはするんですけど、できる可能性があるもの、これはいけるんじゃないかと思ったものに関してはしっかり検討して、でもすいません、やっぱりこれも厳しいですっていうようなことをお伝えしなきゃいけなかったりとか、これはいけると思いますって言ったのに、またちょっとあとでもう少し深めてみたら、みたいなところもあったりしたので、そこはJAXAさんから見ると、なかなかうまくいかないなといっていろいろ、ここも大変だったんじゃないかなというふうには思いますね。