日本でのMotoGP人気を上げるために「これまでできなかったこと」をやりたい。中上貴晶が考える”開発ライダー”以外の新たな役割
世界に目を向けると、MotoGPの人気はものすごいものがある。参戦ライダーが街中を歩くと人だかりができるほどであるとよく言われる。 【ギャラリー】中上貴晶も登場! Honda Racing 2024 Season Finale しかし日本では、お世辞にもMotoGPをはじめ、モータースポーツの人気が一般的であるとは言えない。今回東京・青山で行なわれたホンダ・レーシング(HRC)のファン感謝イベント『Honda Racing 2024 Season Finale』や、F1やMotoGPの日本GPには数多くのファンが訪れるものの、テレビのニュース番組やネットの記事で、F1やMotoGPのレース結果が報じられるのは、至極限られている。 長く世界を相手に戦ってきた中上は、この状況をどう思っているのか? そして日本に拠点を移す今後、何か考えていることはないのかと尋ねてみた。 「ヨーロッパ……特にスペインやイタリア、フランスなどと比べると、日本でのモータースポーツやMotoGP(の人気や認知度)はまだまだ……普通の生活をしていて目に留まる機会はなかなかないと思います」 中上はそう語った。 「僕は日本とヨーロッパの違いを、長く見てきました。でも日本は、ホンダやヤマハといったメーカーが出ている国ですが、なんで重要視されないのかな……そういうのはシンプルに疑問です」 「自分だけでその状況を変えることはできないと思います。お国柄もあるし、それぞれの国が理解して、協力的な部分もあります」 「一番は、日本人ライダーが結果を頑張って出すことだと思います。そしてメディアの皆さんを通じて露出が増えること……テレビをつけた時に、MotoGPの情報が1分でも2分でも報じられるよになれば、『MotoGPってなにか聞いたことあるな』ということになってくると思います」 「いきなり日本中の人にMotoGPのことを知ってもらうというのは、難しいと思います。でも少しずつ、『MotoGPって聞いたことある。もてぎで年に1回やってるよね』というふうになることが、最初のステップになると思います」 中上はこれまで、ヨーロッパに拠点を置き、次々に世界を転戦するという忙しい日々を送っていた。しかしレギュラーライダーから離れること、日本に拠点を移すことで、「今までやりたくてもできなかったこと」をやりたいと語った。 「これからは、考えることができる時間も増えると思います。プロモーションも含めて、今までできなかったことが必ずできるようになると思います。自分も、そしてホンダとも一緒に、MotoGPの露出をどんどん増やしていきたいなと思っています」
田中健一