新女王誕生! カタジナ・ニエウィアドマが「全ステージをパーフェクトに走り抜いた」と自賛の個人総合初優勝 絶対的存在のデミ・フォレリングは4秒届かず【Cycle*2024 ツール・ド・フランス ファム:レビュー】
思いがけず追う側に回ったフォレリングは、残りステージ数からして追撃を急がないといけなかった。それでも、守勢に立ったニエウィアドマは第6ステージではライバルたちにタイムを奪われることはなく、本格山岳に入った第7ステージではみずからアタック。ボーナスタイムはフォレリングに押さえられたものの、最後の1日を前にしても優勢は変わらない。
超級山岳ラルプ・デュエズがそびえる最終・第8ステージを迎えた時点でも、ニエウィアドマとフォレリングには1分15秒もの差があった。もっとも、その間には6選手がひしめいていたけど、それまでのレース展開や実力・実績を見れば、ニエウィアドマとフォレリングの頂上決戦となることは容易に想像がついた。
そしてわれわれは、想像のはるか上を行く戦いを目にすることとなる。
大逆転を狙うフォレリングは、チームメート4人を逃げに送り込んだ。かたやニエウィアドマは、アシスト数人にメイン集団のペーシングを任せて中盤までを進めていく。ラルプ・デュエズに先立つ超級山岳グランドン峠に入ると、SDワークス・プロタイムが攻めの姿勢を強めて、ニアム・フィッシャーブラックがメイン集団のペースを一気に上げる。人数が絞られると、いよいよフォレリングがアタック。頂上までは2.6kmを残していた。
「上りで集団を崩して、総合を争う選手たちだけで勝負できる状況を作り出したいと思っていました」(フォレリング)
フォレリングに追随できたのは、パウリーナ・ローイヤッカース(フェニックス・ドゥクーニンク)ただひとり。スタート段階でフォレリングから2秒先行し、個人総合7位につけていた。ローイヤッカースとすれば当然、総合成績を意識した動きである。フォレリングに誤算が生じたのは、グランドン峠頂上からの下りを経て平坦区間に入ったタイミングだった。 ローイヤッカースにチームカーから、フォレリングとのローテーションに応じないよう指示が出される。2人の総合成績が近かったことや、レース展開的にマイヨ・ジョーヌが舞い込んでくる可能性が出てきたことで、ラルプ・デュエズ勝負にフォーカスする構えをとった。先を急ぎ続けるフォレリングは、下りで逃げグループから降りてきた選手たちを次々と振り切っていて、図らずもローイヤッカースとのマッチアップ状態を作り出していた。
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