花咲く日本の春を祝福するロゼ・シャンパーニュ
Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は5月号(3月25日発売)より、「ペリエ ジュエ ベル エポック フロレサンス 2015」。軽やかでフレッシュでありながら、 芳醇な花の香りが印象的な1本だ。 願わくば花の下にて春死なむその如月の望月のころ」と詠んだのは晩年の西行。この場合の“如月の望月”とは釈迦が入滅した涅槃会(2月15日)を指すそうだが、新暦ではいつになるのだろう。試しに2024年で計算してみたら、3月24日。ちょうど本誌が発行される頃になったので驚いた。 そしてこの場合の花とは、もちろん桜。春に咲き、潔く散る桜は日本人の生死感と深く結びついているといわれるが、確かに桜を見て「今年も無事に花見ができた」と感慨にふける人は多いだろう。植物が芽吹く春は生きとし生けるものにあまねく感謝し、祝福したくなる季節でもある。 そんなシーンにふさわしいのが「ペリエ ジュエ ベル エポック フロレサンス 2015」だ。1811年創業の老舗シャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ」において、「ベル エポック」とはエミール・ガレがボトルに描いたジャパニーズ・アネモネ(秋明菊)の美しさから、“シャンパーニュの芸術品”と称されるプレステージ・キュヴェのこと。最高級のシャルドネを使用した繊細でエレガントなスタイルが世界中の愛好家を魅了し、200年以上の長きにわたって愛されてきた、唯一無二のシャンパーニュである。 なかでも新たにリリースされた「フロレサンス 2015」はロゼ、そして日本限定発売というスペシャルな1本。第8代最高醸造責任者セヴリーヌ・フレルソンが日本を訪れた際に、可憐な花々がやわらかな陽の光を浴びながら咲き誇る光景にインスピレーションを得て、“開花”を意味する「フロレサンス」の名を冠したのだという。 「スムーズな舌触りとひと口目から押し寄せるうまみのインパクト、長い余韻がぼくの好み。合わせる料理のインスピレーションが次々と湧いてきます」と、このシャンパーニュを語るのは「jinen.」(東京・渋谷)の加藤将益シェフ。この日は、春らしく木の芽とうるいをあしらった筍の一皿を提案してくれた。実際に口にしてみると、春の食材のかすかな苦みがロゼのほどよいタンニンと出会うことで、よりおいしさを増すようなペアリングである。 聞けば、このキュヴェの特別な色合いを醸し出すために、赤ワインを10%ほどブレンドし、また仕上げる際には特別なリキュール・ド・ドザージュを加えているのだとか。軽やかでフレッシュでありながら、芳醇な花の香りが印象的なロゼ・シャンパーニュの誕生に、今日が特別な日でなかったとしても祝杯を上げたくなる。 ■ペリエ ジュエ ベル エポック フロレサンス 2015 容量|750ml セパージュ|シャルドネ50%、ピノ・ノワール50% 価格|49005円(税込) 問い合わせ|ぺルノ・リカール・ジャパン Tel.03-5802-2671 ■今宵の一杯はここで jinen. 「石かわ」プロデュースによる注目の一軒家フレンチ 「プライベートでも『ベル エポック』を愛飲しています」と加藤シェフ。 ミシュランの三つ星を獲得し続ける「神楽坂 石かわ」監修による、南平台の一軒家フレンチ。腕を奮うのは、札幌の名店「モリエールを起点に、デンマークの伝説のレストラン「noma」やその姉妹店「INUA」で研鑽を積んだ気鋭の加藤将益シェフだ。クラシックの技法と、イノベーティブな発想というふたつの異なるアプローチを武器に、日本の旬の食材のおいしさを最大限に引き出す。 jinen. 住所/東京都渋谷区南平台町6-7 電話/050-3138-5225 営業時間/12:00~、17:00 休/日曜・月曜・祝日
秋山 都