バッテリー不要のスピーカーフォンが働き方を変える?
電話(ビデオ)会議システムと聞くと、どんなことを想像されるだろうか。一式あわせると数十万円もする大がかりな設備で専用の部屋も必要、といったところが一般的なイメージだが、もはやそんなスタイルは過去のものになってしまうかもしれない。いま、手のひらに収まり、ポケットに入る大きさでiPhone (アイフォーン)やiPad(アイパッド)などにつなぐと、手軽に遠く離れた相手と会議ができてしまう時代が到来しているのだ。
オンキョー&パイオニアマーケティングジャパン(東京・中央区)は、この夏からSiri に対応し、装備されているLightning(ライトニング)コネクタでiPhoneなどに接続することで簡単に電話会議を行うことができるパイオニアブランドのスピーカーフォン「RAYZ Rally」(レイズラリー)を発売。遠隔地との会議が多い企業関係者に支持されている。 RAYZ Rallyは低消費電力で動作する技術を日米のチームで開発し、外部バッテリーを一切使わず、Lightningケーブルで接続したiPhoneやiPadなどからの電力供給だけで、内蔵しているマイクと本体部のスピーカーにより電話会議を行える。必要最低限の電力しか引き出さないので、iPhoneなどの電源に大きな負担をかけないという特徴がある。さらに、Rallyに内蔵されている充電ポートによって、会議を続けながらiPhone などを充電することも可能だ。
会議など広い場所での会話のやりとりを集音する全指向性マイクと、本体中央部に3センチのほどのスピーカーが内蔵されている。本体のスマートボタンでは、Siriを有効にしたり、マイクをミュート(消音)することもできる。 作業や運転をしているときなど、手が離せない状態にある時でもハンズフリーで会議のやりとりを行うことができる。筆者も実際にFace Timeで使ってみたが、音声がしっかりかつクリアに聞こえ、会議で十分活用できる高品質だ。さらに映像を見ながら会議を行えば、高品質なテレビ会議と変わらない。 取材に応じたのはオンキョー&パイオニアイノベーションズの足達徳光さん、甲斐拓さんらが日本から。海外の開発拠点からは原田浩二さんがRAYZ Rally 経由で参加した。RAYZ Rallyはアップルストアでも販売されているほか、海外でのニーズの拡大にも手応えを感じているという。 足達さん、甲斐さんは「開発にあたっては、省電力という部分に苦心しました。これから海外での一段の展開が楽しみです」と話す。 現在、官民で進められている働き方改革では、テレワークなど会社に出社しなくても自宅などで仕事ができる環境をいかに構築するかがカギになる。さらに会社では、社員同士のコミュニケーションいかに円滑に取れるかも重要だ。各企業ともそうした課題の克服に向けて知恵を絞っているが、従来の電話・ビデオ会議システムでは、機械の使い方がよくわからなかったり、セッティングに時間がかかったり、話を大声で伝えようとすると先方には怒っているように誤解されたりするなどの悩みも多かった。 RAYZ Rallyを使うと、こうした悩みは解消され、手軽に会議ができ、参加者が大声を出す必要もなくなる。このため仕事環境を劇的に変える可能性を秘めている。そうした面からもこの小さなスピーカーフォンは今後注目を集めそうだ。 RAYZ Rallyは白系と黒系の2タイプ。オープン価格だが、市場価格は1万4000円程度。