ネットの誹謗中傷をなくしたい メタバースから飛び出して国際交流【イマドキの大学ゼミ】
利害関係を調整する力
岡嶋教授は学生に任せてくれるので、自分たちで動かないと何も始まりません。おかげで主体性が養われたと2人は言います。 柴崎さんは、学外の人と活動することで、利害関係を調整する力もつけることができました。 「自分と利害関係が異なる相手に同意してもらう難しさを痛感しました。相手の悩み、要望を引き出したうえで、相手目線でメリットを考えて提示し、折衷案を作ることが求められます」(柴崎さん) たとえば、学生は研究のためのデータが必要ですが、相手はプロジェクトの結果さえ出ればいいと考えている場合もあります。調整が難航して岡嶋教授やゼミのメンバーに相談しながら乗り越えたこともありました。学生同士とは違う、大人との交渉を経験して、社会に出てからも役立つスキルが身についたそうです。 気谷さんも大きな気づきがあったと語ります。 「最初は箱根のプロジェクトに関わることで何か得られたらいいなという消極的な気持ちでしたが、自分に何ができるかを考えないといけない事態に直面し、プロジェクトの成功だけを考えて行動したところ、自分の果たす役割が大きくなり、結果的に自己の成長につながっていました」(気谷さん) 卒業後、気谷さんはアメリカの大学院でメタバースやマネジメントを学びたいと考えています。柴崎さんはゼミで培った力とスキルを早く発揮したくて、SIer(エスアイヤー、システム開発をする企業)への就職を希望しています。ゼミ生全体ではIT系企業が多く、ゲーム業界に入る人もいるそうです。
朝日新聞Thinkキャンパス