【福島記念】ノリさんの〝助言〟が転機に! 7歳馬アラタ三度目の正直で悲願の重賞初V
[GⅢ福島記念=2024年11月10日(日曜)3歳上、福島競馬場・芝2000メートル] 秋の福島競馬恒例のGⅢ福島記念は、大野騎乗で7番人気のアラタ(牡7・和田勇)が優勝。2021、22年とともに1番人気に支持されながら3着に敗れた雪辱を果たし、悲願の重賞初Vを達成した。勝ち時計は2分00秒7(良)。
7番人気の低評価覆すV
トップハンデの57・5キロを背負った古豪が、悔しい思い出の残るみちのくの地で底力を見せつけた。4歳夏にオープン入りを果たし、その後は重賞で3度の3着が最高着順(オープン特別は2勝)だが、そのうち2度はともに1番人気に支持された21&22年のこのレース。あれから2年が過ぎ、近走は目立つ成績も挙げられなかったことで7歳秋の今回は7番人気の低評価だった。 道中は後方でリズム重視の走り。3角手前から馬群の大外を一気に動いてポジションを上げると、直線でも脚いろが鈍ることなくまとめて差し切った。大野とは前回の福島記念(22年3着)以来となる再コンビ。「3度目の福島記念でチャンスをいただけて感謝していますし、〝三度目の正直〟ではないけど、これまで1番人気で期待を裏切る形だったので、今回は結果を出せてよかった」と鞍上は喜びに浸った。デビューから13戦連続で騎乗するなど、かつては主戦としてタッグを組んできたパートナー。幾度も味わった悔しさがあればこそ、この一戦にかけた思いが結実した充足感がにじみ出る。 和田勇調教師にとっては、21年レパードSのメイショウムラクモ以来、3年ぶり2度目の重賞勝ち。「1回目(の福島記念)は相手が強くて、2回目は運がなく、3回目で展開が向いてやっと勝てました」と述懐する。ここまでの苦心の時間について「助手と相談して調教でも工夫してきました。今年の中山金杯のときに内ラチにぶつかって腰を痛めた影響をずっと引きずっているのではないか…と金鯱賞の時にノリさん(=横山典)に言われて…。それで坂路をやめてコースで長めを乗るようにしたんです」と明かし、悲願の重賞勝利の味をかみしめた。 ジョッキーと厩舎がまさに一丸となってつかんだ重賞勝ち。再起のきっかけをつかんだ7歳馬が、ここから波に乗って活躍していきそうだ。
立川 敬太