フランス海外県マヨット、サイクロンで壊滅的被害 死者数千人も
(CNN) アフリカ東部のインド洋に浮かぶフランス海外県マヨットが100年ぶりといわれる猛烈な大型サイクロンに直撃され、壊滅的な被害が出ている。犠牲者の数は把握不可能な状況にあり、死者は数千人に上る可能性もある。 【画像】人工衛星が捉えたサイクロン直撃後のマヨット 中心都市マムズのホテル経営者は「何もかも失った。ホテルは全壊だ」「何も残っていない。まるでマヨットに原爆が落ちたようだ」とCNN提携局BFMTVに語った。 インド洋南西部で発達したサイクロン「チド」は、マダガスカル島北部を通過して急激に勢力を強め、14日にマヨットを直撃。その後モザンビーク北部でも被害が出ている。 マヨットでは過去少なくとも90年で最悪の被害が発生。住宅はなぎ払われ、停電に見舞われ、病院や学校も倒壊して、空港の管制塔は損壊した。 フランス保健省によると、これまでに少なくとも14人の死亡が確認された。しかしAP通信は地元当局者の話として、死者は数百人から数千人に達する可能性もあると伝えている。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は16日、数日中にマヨットを訪問するとXに投稿し、公務員や救急隊を動員して市民を支えると表明した。 ブルーノ・ルタイヨ内相代行は同日、島全体が壊滅状態にあり、死者数の推定は不可能だと語った。 特に不法移民の住居や小屋があるスラム街は最悪の被害が出ており、「何も残っていない」とルタイヨ氏は形容。フランス軍が上空から撮影した映像には、がれきと化した集落が映っていた。 マヨットにはここ数十年で近隣のコモロ諸島やマダガスカルから何万人もの移民が押し寄せており、マヨットの未登録居住者10万人の多くがそうした集落で暮らしていた。 現地では道路が破壊されて通信が途絶し、未登録居住者も多いことから捜索救助活動は難航している。 地元議員によると、島のおよそ3分の2は到達不可能な状態にあるという。 不法移民の子どもが通っていたマムズの学校の職員は、サイクロンが接近しても警察につかまることを恐れて避難しない生徒が多かったと語った。 フランスは不法移民を強制送還して居住地を解体する目的で、マヨットに何千人もの警官を派遣していた。 16日午前の時点でマヨットは、36時間以上、通信がほぼ完全に途絶えた状況にある。 住民は「電気も水もない、暗闇の中で3日間過ごしている。もう3日たつのに救助は来ない」と訴える。 フランス政府によると、緊急援助物資を積んだフランス軍機がマヨットに到着し、海軍艦2隻も派遣された。 AP通信によれば、フランス本土とフランス領レユニオン島からも救助隊や消防隊、警察が派遣されている。