「子宮頸がんはワクチンで“予防できる”がんです!」娘たちのためにOurAge世代ができること【専門医からの提言】
がん検診で早期発見できても将来の妊娠・出産に影響が!
「子宮頸がん検診は、がんの早期発見と早期治療を目的に行われるもので、がんの発症を防ぐことはできません。子宮頸がんの発症を防ぐには、やはりHPVワクチンを接種することが大切です」 しかしながら子宮頸がんの中には、ワクチンでは防げないウイルスタイプによるものもあるという。 「ですからワクチンだけでも不十分で、検診と組み合わせることが必要です。子宮頸がんを予防するには、ワクチンと検診は車の両輪。どちらも大切なのです」 万が一、子宮頸がんにかかったとしても、子宮頸がん検診で早期発見すれば子宮は残せて、妊娠・出産も可能といわれている。しかし、将来、早産や流産などのリスクがあることはあまり知られていない。 「がん検診で子宮頸がんが見つかったら、手術が必要です。超早期発見で、前がん病変(異形成)やごく初期の子宮頸がんで発見できたとしても、細胞の変化した部分を切り取る子宮頸部の円錐切除術を行うことになります。この円錐切除術を行った場合、将来、妊娠・出産をする際に、早産や流産などが起こる可能性が高まります。 また、子宮頸がん検査は100%ではなく、がんや異形成を見逃してしまう可能性もあります。ですから、HPVワクチン接種で予防することも大事なのです」
なぜ若い世代が子宮頸がんにかかりやすい?
子宮頸がんは若い世代の女性に多いがんだ。偏見や遊んでいるという間違ったイメージから、子宮頸がんを公表できず、医療機関に相談できない人もいる。「セックスをたくさんしている人が感染する」「特定のパートナーとだけ性交渉をするので感染しない」ということはない。 「子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部にできるがんです。原因は、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に持続的に感染することです。HPVは決して珍しいウイルスではなく、多くの女性と男性が一生に一度は感染するといわれる、ごくありふれたウイルスです。性交渉の経験がある人の80%は、知らないうちにHPVにかかったり、治ったりしています」 通常はウイルスに感染しても、異物を排除する免疫機能によって自然に排除されるのだが、約10%の人は排除されずに、長期間感染が続く場合があり、ウイルスに感染した子宮の入り口の細胞ががん化することがある。なぜ持続的に感染する人と、自然に排除できる人がいるのかはわかっていない。 通常、HPVに感染してから子宮頸がんになるまで、数年から数十年かけて、ゆっくりと増殖する。がんが発見される前段階として、子宮頸部にがん化する可能性がある細胞が増えていく。これをがんになる前の「異形成」という。 10代で初めての性交渉を経験してHPVに感染した場合、異形成やがんが見つかり出すのは20代になった頃から。そして30代、40代でかなり増えていく。就労や結婚、出産、子育てなど、女性にとって大きなライフイベントを迎える時期にかかることもあり、女性の人生に大きな影響を与える可能性があるのが子宮頸がんなのだ。 過去に一度でも性交渉の経験がある人ならば、誰もが感染するリスクがある。たとえ一人としかセックスをしたことがなくても、その人が過去にほかの人と性交渉をして、感染している可能性はないとは言えない。