「自分を解放することで、人とちゃんと向き合えるようになった」三吉彩花が語る“ありのまま”の尊さ
自分らしく生きれない人に伝えたい言葉
──Instagramで発信されているご自身のスタイルや、インタビューでおっしゃっていることを読んでいても、三吉さんはすごく自分軸のある方だなという印象があります。どうやって確固たる自分を築いていったのか聞いてもいいですか。 私は小さい頃からこのお仕事をやらせていただいて。そのときそのときで好きなものもあれば嫌いなものもあって、でもあまりそういう部分を見せてこなかったんですね。別に無理をしていたわけではないんですけど、違和感と隣り合わせにいる感じがずっとあって。それが、20歳を越えて、これから自分はどうなっていきたいかを考えたときに、もうちょっと自分でいいのになって考えるようになりました。そこからですね、自分の中にあった違和感から少しずつ解放されていったのは。 だから、私のファッションを見て世間のみなさんは急に路線変更をしたと思われるかもしれないですけど、そんなことはまったくないんです。ああいうカッコいい感じとか、奇抜な感じとか、もともとずっと大好きで。でも、いろんな作品に携わるにあたって、その側面をあまり出してこなかった。それが、これが三吉彩花ですよというものを見せられる年齢や環境になってきたこともあって、少しずつみなさんに認知していただいているだけで。私の中には、常にああいう自分がいたんですよね。 ──本当の自分を見せられるようになって、気持ちは楽になりましたか。 楽ではないですね。 ──楽じゃないんですか? いろいろ言ってくる人はいますから(笑)。でも、私は気にしないです。自分を解放することで、お仕事をする人とよりちゃんと向き合えるようになったし。何もつくっていない三吉彩花を見た上で、お仕事をしたいと思っていただけるか、そうじゃないかという話なので、どんな結果も素直にシンプルに受け取れるようになりました。ちゃんと自分をプレゼンしながら仕事の場に出ていけるようになったことは、私の中ですごく大きな変化ですね。 ──自分軸を持っていきたいと思う人は多いですが、なかなかそうできないのもまた現実です。自分らしく生きたいと願う人たちに、三吉さんから伝えたい言葉はありますか。 自分らしく生きればいいって言うのは簡単ですけど、実際には難しいですよね。私も仕事を始めて21年。逆を言うと、21年の時間がかかりました。本当に長い道のりだと思います。 ただ、常に思うのは、特に日本はとにかく周りに合わせる。誰かが右を向いたら右を向くという風潮がすごく強いですよね。海外に行けば行くほど、日本のその風潮にものすごく疲れます。日本はみんなが右に行くところで左を選ぶ人に対して変わってると捉えますけど、その人にとってはそれが普通のこと。奇抜でも何でもないんです。 ──勝手に周りが変わり者扱いしているだけですもんね。 私は、本当に謝らなきゃいけないときは謝りますけど、自分が悪いと思っていないことで頭を下げたくない。でも、組織に入ったばかりの新人が私は悪くないんで謝りたくありませんなんて言いづらいし、とりあえず合わせなきゃって順応するのも仕方ないと思うんですよね。私にはわからないしんどさが会社勤めの方にはあるんだと思います。 もし自分の信念を貫けなかったとしても、それはその人が悪いわけではなく、先輩とか上司とか、そうさせている環境にも責任があると思うんです。だから、あんまり自分だけが悪いとは思わない方がいいんじゃないかな。そうやって自分で自分をプロテクトしてあげないと、この世の中を生きていくのがどんどんしんどくなってくる。たとえ自分らしさを曲げることになっても、私は悪くない、私は間違ってないと心の中でちゃんと思っておくことが必要なのかなと常日頃感じます。 ──ありがとうございます。最後に、そんな三吉さんにもポンコツな部分があるか聞いてもいいですか。 ありますよ~。私はとにかく片付けが超苦手です(笑)。いつも細かく整理できたらいいんですけど、なかなかそのスイッチが入らない。夏休みの宿題もラスト3日で追い上げるタイプでした。そういうところはもうずっと変わらないですね(笑)。 取材・文/横川良明 編集・構成/小島靖彦(Bezzy)