「それって陰謀論じゃないですか?」闇の国家「ディープステート」を信じる著名人一人一人に会ってみたら…どうなった?
この経験は『正しさ(=正義の信念)』への固執に、陰謀論がつけいることを示している。今ある現実と、あるべき現実の間にねじれがあれば、陰謀論で解消しようとする。それは、インターネットで好みの情報以外が届かなくなる『フィルターバブル』を引き起こすことになる。 皮肉にも、政治に関心を持つ人、知識のある人ほど陰謀論に陥りやすい傾向にある。イデオロギーを問わず、政治に不満があれば『何か裏があるのではないか』と考えやすい。政治的信念は、陰謀論を生み出しやすいのだ。政治に全く関心がないのも問題だが、過度に入れ込まないバランス感覚が肝心と言える。 ディープステートを唱えるような陰謀論者は、最近になって可視化されるようになったが、実際にはあまり増えておらず、今後も急に増加するとは思わない。数だけで言えば、社会への影響力は限定的だろう。 問題は、その質だ。組織化して過激化すれば、米議会襲撃のような事件が起きるリスクが高まる。陰謀論に陥らないためには、政治と一定の距離を保ち、身近な人間関係を大事にしていくことが大切だ」
× × はた・まさき 1988年、広島県生まれ。神戸大で博士号(政治学)取得。専門は政治心理学、政治行動論など。著書に「陰謀論―民主主義を揺るがすメカニズム」など。