「それって陰謀論じゃないですか?」闇の国家「ディープステート」を信じる著名人一人一人に会ってみたら…どうなった?
ディープステートが存在すると考える地方政治家は、斉藤だけではない。広島県呉市の前市議、谷本誠一は、現職だった2022年2月、釧路空港で搭乗時にマスク着用を拒否し、航空機の離陸を1時間以上遅らせた。 「国際金融資本を中心に、裏で世界を操る闇の勢力がいる。(マスク拒否は)そうした勢力に支配されている日本政府への抵抗の一環だった」 2023年の選挙で落選したが、谷本は「全国から励ましが寄せられた」として国政進出を目指す。一方で反ワクチンを唱える「全国有志議員の会」も発足させた。地方議員153人が賛同しているという。 陰謀論を語る議員らに共通するのは、ネット情報への過度な依存だ。議員の会に名を連ね、一般質問でディープステートとの言葉を用いた愛知県議の末永啓は「テレビや新聞は一切見ていない」。 末永は「陰謀論と言われてもネガティブな意味には思っていない」と言う。そして、こう言葉を続けた。「それは『真相論』なのだから」
▽過激化した行動 大阪拘置所の面会室。アクリル板越しに座った村井大介は、新型コロナのワクチン接種に反対する理由を尋ねると、身を乗り出しながら述べた。「子供たちが人口削減計画の犠牲になってはならない」 村井は反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の代表を務める。2022年に生活保護費をだまし取った容疑で逮捕され、勾留期間は1年以上に及ぶ。「保釈請求は何度も却下されている。ディープステートによる圧力以外の何物でもない」。自らの考えを記したノートを手に、逮捕の不当性を訴えた。 公安関係者によると、会が結成されたのは2021年秋ごろ。「コロナは存在しない」「世界は闇の政府に支配されている」といった陰謀論を背景に、SNSを通して急速に賛同者を増やし、一時は全国デモに6千人を動員した。 活動は、半年ほどで急激に過激化。2022年には東京都内などのワクチン接種会場に押し入り、メンバーが逮捕される事件を起こした。有罪判決が下され謝罪を述べるメンバーもいたが、村井はこの事件を評価している。「子どもたちの命を救えたのなら、素晴らしい行為だったと思う」