「それって陰謀論じゃないですか?」闇の国家「ディープステート」を信じる著名人一人一人に会ってみたら…どうなった?
そうした言動は、ディープステートの存在を主張する人たちに共通しているが、原口に意に介する様子はない。「立憲が真実についてきていないだけ」 アメリカでは、前大統領のトランプが前回の大統領選に不正があったと一方的に主張し、支持者らはトランプを「ディープステートと闘う救世主」と信じている。原口は不正があったかどうかは明言を避けながらも、次の米大統領には「トランプがなってほしい」と言い切った。 「立憲にもディープステートの影響下にある勢力はいる。だが、私の考えを理解する人は増えている」。原口はそう話したが、ディープステートの輪郭は見えないままだった。 ▽地方議会への影響 「あなた自身が、ディープステート機関の職員であるという認識はあるのか」 取材を申し込む電話で、男性が唐突に尋ねてきた。やや戸惑いながら否定すると、「それではだめだ。メディアは全て支配されている」と語気を強めた。
声の主は、福井県議会議長や自民党県連幹事長を務めた斉藤新緑。県議6期など30年以上に及ぶ議員生活を送ったが、昨年4月の統一地方選で落選した。事務所を訪ねると、斉藤は自信ありげにこう語った。「物事を掘り下げていくと、全てがディープステートに行き着く」 斉藤は2021年2月、地元で配布した議会報告の冊子に「地球45万年は闇が支配してきた」として、その支配者が「ディープステート」で「本当の悪魔」と記した。新型コロナウイルスのワクチンも「殺人兵器」と断言したが、いずれも具体的な根拠はない。 そうした内容は、同年1月の米議会襲撃事件に多くの信奉者が加わった陰謀論勢力「Qアノン」の主張と重なる。「バイデンはゴム人形」「ウクライナはネオナチ」。斉藤は「ネットで知った真実」に基づく自説を次々と展開した。 だが、極端な陰謀論を前に、支持者は次々と離れていった。70代の男性は嘆く。「地元に密着する人気者だったのに、なぜあんな方向に行ってしまったのか」