“ジャニーズだけじゃない”当事者が伝えたい性被害 ~後編~
■性被害を話すと“うそつき”と言われた過去
前編・後編と性被害を受けた2人の当事者の声をつづってきた。2人が共通して話していたのは、自身の性被害体験をなかなか理解してもらえない過去があったということ。 トークイベントを主催した安西さんは“男性からの性被害を受けたこと”を理解されず、うそつき扱いされたという。カウンセラーや精神科医といった被害者に寄り添う立場の人からも、うそつき扱いを受けたという。 つじさんも、「女性とは違うんだから、そこまで深く傷つかないだろう」と言われたり、女性の性被害者からも「絶対、女性と男性の被害は違う」と言われたりし、つらい思いをしてきたという。 被害を打ち明けることは、容易ではないにもかかわらず、せっかく上げた声を信じてもらえず、苦しかったと当時の心境を話した。そうした状況に変化があったのは、2017年以降、刑法が改正されたことがきっかけではないかという。
■性犯罪の時効をなくす方向で考えてほしい
日本では、2017年の刑法改正で強制性交等罪と名称が変わり、女性に限られていた被害者は性別を問わないことになった上、男性以外も加害者になり得ると定義された。しかし、加害者を罪に問うには、被害者が暴行や脅迫を受けるなどして抵抗できない状態であることが要件で、その証明が非常に難しい現実があった。 今年7月、強制性交等罪が不同意性交等罪に変わった。アルコールや薬物の影響、地位を利用するなどして、「同意しない」意思を表すことなどが難しい状態にして性的行為が行われた場合には、加害者を罰することが可能になった。 こうした改正はあったものの、つじさんはイギリスやカナダなどと違い、日本では性犯罪に時効があることについて触れ、今後日本でも時効をなくす方向で考えていかなければと話した。トークイベントでは、自身も性被害の当事者である司会者が「なぜ訴えないの?」という趣旨のことを言われることはよくあると話し、被害に遭った直後に人に話したり訴えたりすることの難しさや加害者との関係性を壊したくないと考える場合もあるなどと説明した。 そして、時間の経過とともに、そうした思いを超えてようやく警察などに通報しようと思っても、時効が過ぎていたり、加害者がすでに亡くなっていたりと様々な課題があると話した。