「超逆三角形ボディ」頭脳派メンズフィジーク選手が身長別の日本大会で頂に立つ 全くの「無調整」で優勝 大一番へ弾み
ボディビルをはじめとするボディコンテスト競技にも様々なタイプの選手が存在する。筋肉の大きさが特徴的な選手、がっつりと絞り込んだコンディションで闘う選手、全体的なプロポーションを武器とする選手、などなど。他のスポーツと同様、それぞれの選手にそれぞれの闘い方があるのであるが、この穴見一佐(あなみ・かずさ/27)選手は、いうなれば“頭脳派”の選手である。 【写真】穴見一佐選手の「超逆三角形」ボディ
「僕は来週のグラチャンのためにやってきたので。今日はあくまで、その通過点です」 9月29日、岡山で開催されたボディコンテストの全国大会、『オールジャパンフィットネスチャンピオンシップス2024』。メンズフィジーク180cm以下級で3連覇を成し遂げた穴見選手は試合後、表情ひとつ変えずにそう言い切った。 「グラチャン」とは、10月6日に大阪で開催されるビッグマッチ「グランドチャンピオンシップス2024」を指す。これは、メンズフィジーク、ビキニフィットネス、ボディフィットネスの各階級のトップ選手が争う真の日本一決定戦。その頂を狙う穴見選手にとって、今回のオールジャパンは一つのステップに過ぎなかった。一般的には、コンテスト直前になると塩分や水分、炭水化物の摂取量などを細かく計算してベストコンディションに仕上げていく選手が少なくない中、穴見選手はそうした調整を行わず、今回はいわば“無課金”状態で試合当日を迎えたという。 「来週にベストコンディションを持ってこられるよう、まったく調整を行わずに臨みました。調整せずにオールジャパンで勝てるレベルでないと、グラチャンでは優勝できません」 その自信の根拠とは。そこに、頭脳派の頭脳派たるゆえんがある。 「僕は誰よりもメンズフィジークについて勉強しています。地方大会から世界選手権まで、国内外のメンズフィジークの試合を映像、写真、ジャッジシートなどを見てチェックしています。どういった選手が評価されるのか、逆にどういった選手は『メンズフィジーク』のカテゴリーから外れて(評価されなくなって)しまうのか。そういったことを理解できているというのが大きいです」 グランドチャンピオンシップスでは現在、176cm以下級覇者の伊吹主税選手が2連覇中で、今年はディフェンディング王者として3連覇に挑む。グラチャンでの穴見選手との対決に向けては、「負ける気がしない」とコメント。対する穴見選手の心境はいかに。 「伊吹選手以外の選手にも、しっかりと目を向けていくべきだと思っています。エントリーしている選手たちの顔ぶれを見る限り、タイプの違う選手が並ぶことになるので、審査は大荒れになると思います。実際に、僕がオール1位票を集めることもなければ、伊吹選手がオール1位票で勝つこともないでしょう。1位票を分け合った上で、僅差で優勝したいと思います」 プロレスファンでもある穴見選手は、「たとえ大技が決まらなくても、相手の意表をついた丸め込み技で3カウントを奪えれば」とも。頭脳派メンズフィジーク選手が、研究の末に導き出した最適解で勝利を狙う。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介